「外壁塗装の契約書って重要なの？」
「契約書が適切かどうかの確認ポイントが知りたい」
上記の疑問は、外壁塗装を検討されている方に多いものです。
外壁塗装はリフォーム工事で不具合が生じやすい箇所のため、適切に作成された契約書の存在が重要となります。
本記事では契約書の目的や確認事項、トラブル発生時の対処法などを解説していきます。
外壁塗装をご検討の方は、ぜひ参考にしてみてください。
外壁塗装の工事において契約書が必須な理由は、下記のとおりです。
・契約内容の明確化
・紛争の予防
・証拠保全
契約書がなければ、万が一業者との間にトラブルが生じた際に「契約に入っている・いない」で水掛け論になりかねません。
悪徳業者と契約してしまった場合、契約者が損をするだけでなく詐欺などのトラブルに巻き込まれるリスクもあります。
契約書のない施工で起こりうるトラブルは、下記のとおりです。
・先払い後に業者と連絡がつかなくなった
・足場設置後に作業が頓挫してしまった
・契約前にもらった見積もりの金額より、工事が終わった後の請求額が高額になっている
契約書を取り交わしていれば、契約内容に則り途中で契約を解除できたり請求された金額を払わずに済んだりすることもあります。
納得の行く工事を実現するためにも、契約書の存在は重要です。
外壁は、リフォーム工事において最も不具合が生じがちな箇所です。
2022年の住宅リフォーム紛争処理支援センターによる報告では、下記の不具合に関するリフォーム相談が多い傾向にありました。
・1位：雨漏り
・2位：剥がれ
・3位：ひび割れ
・4位：性能不足（契約内容との乖離など）
・5位：汚れ
上記全ての不具合の多発しがちな箇所が外壁です。
つまり、リフォーム工事後に外壁のトラブルで悩まれる方が多いと考えられます。
またリフォーム相談のうち、業者への苦情が9割を占めている点にも留意しましょう。
外壁塗装は仕上がりが綺麗だと手抜き工事の見極めが難しく、工事後のトラブルが起きやすくなる傾向にあります。
外壁塗装の契約時に必要な書類は、下記のとおりです。
・工事請負契約書
・請負契約約款
・保証書
・請負代金内訳書
・請求書
以下では、それぞれの書類について具体的に解説します。
工事請負契約書は、業者が出した見積もりに合意後取り交わす契約書のことです。
業者との契約内容を証明する唯一の書類となるので、必要書類の中で最も重要な書類といえます。
記載する項目は建設業法で定められており、内容に抜けがあれば法律違反となるので注意が必要です。
契約内容を明確にして未然にトラブルを防ぐためにも、内容が適切であるかどうか確認する必要があります。
なお契約者と業者の署名と捺印によって締結されるため、契約書は複写式であることが望ましいです。
請負契約約款とは契約書の記載項目をさらに具体的に説明した書類で、トラブル発生時の対処法なども記載されています。
請負契約約款では、クーリングオフや賠償責任に関する記載を確認しておくことが大切です。
特に第三者を巻き込んだトラブルを完全に防ぐのは難しくなるため、賠償責任の所在を明らかにしておく必要があります。
外壁塗装には、塗料の飛散や足場設置・解体時の物損などのリスクがつきものです。
通常業者は保険に加入しているため、支払いの責任を負ってくれるケースが多くあります。
しかし万が一の際を想定し、保険会社が賠償を担う旨を確認しておきましょう。
保証書とは、万が一不具合が生じた際に補修や再工事を保証する旨を書面に記したものです。
外壁はリフォーム工事の中でもトラブルが生じやすく、塗装後の変色や剥がれに対応してもらえるようにしておく必要があります。
保証書には保証期間や対象、条件などが書かれているので、契約時によく確認しておきましょう。
特に塗装が剥がれやすいとされる木部や鉄部の箇所は、保証期間を確認しておくことが重要です。
請負代金内訳書は、外壁塗装にかかる総額が記載された書類です。
事前に出された見積もりとの差異がないかどうか、必ず確認しておくことをおすすめします。
見積もりと請負代金が異なる場合、料金が追加もしくは削減された理由を明確にしておくことが必要です。
見積もり時に工事内容を確認していても、請負代金内訳書にて工程を再確認しておくと業者に質問しやすくなります。
また「一式」とまとめられた項目は、具体的に何の工程が含まれるのかを業者に聞いておくことも重要です。
工程ごとの費用を明確にすると、納得のいく外壁塗装の実現を目指せます。
請求書は工事が終わった後に業者から発行される書類で、塗装サービスの対価の支払いに必要な項目が記載されています。
請求書に記載される基本的な項目は、下記のとおりです。
・業者の会社情報
・契約者名
・取引年月日
・工事内容と塗料の単価、数量
・請求金額
上記以外にも、振込先の銀行口座の情報や支払いの期日などが記載されている場合が一般的です。
なお請求書の形態は、会計ソフトなどで発行する電子媒体のものと市販の用紙を使った紙媒体のものがあります。
外壁塗装の契約書には、下記に挙げる項目の記載が必要です。
・工事名と施工場所
・工事の請負金額
・工事の着手から完成までの期間
・工事代金の支払い時期と支払い方法
・契約書に合わせて提出する書類の種類
・業者の会社名と住所
・契約者の氏名と住所
上記の記載がなければ建設業法に違反することとなるので、捺印前に必ず契約内容をチェックしましょう。
また契約書に収入印紙が添付されているかどうかも、確認が必要です。
外壁塗装の契約書は印紙税法の「請負に関する契約書」に該当しており、課税対象となります。
1万円未満の小規模工事であれば非課税ですが、1万円以上の塗装であればお客様控えでも必ず収入印紙の貼付が必要です。
収入印紙は自分で準備できますが、一般的に業者側が用意することが多い傾向にあります。
以下では、外壁塗装でトラブルが生じた際の対処法を紹介します。
・クーリングオフ制度の活用
・第三者機関への相談
万が一の事態に混乱せず対処できるよう、事前に制度や救済機関のことを知っておきましょう。
クーリングオフ制度とは、契約日を含む8日間は契約の解除を申請できる制度です。
理不尽な契約を結んでしまった場合でも、クーリングオフを利用すれば損失を被る心配がありません。
クーリングオフを行う際は、書面やメールなどで下記に挙げる項目を業者に通知します。
・契約年月日
・業者名と担当者名
・商品名
・契約金額
・契約を解除する意向
・申請日
・契約者名と住所
書面で送る場合は特定記録郵便や簡易書留などを使い、発信の証明が残るようにすることが大切です。
ただしクーリングオフは訪問販売や勧誘の場合にのみ適用でき、自ら塗装を依頼した場合は対象外となる点を留意しておきましょう。
工事中や工事後にトラブルや不安が生じた際は、下記に挙げる第三者機関に相談しましょう。
・弁護士
・独立行政法人国民センター
・公益財団法人住宅リフォーム紛争処理支援センター
上記の中でも、住宅リフォーム紛争処理支援センターは住宅に関する相談専門の窓口があるのでおすすめです。
弁護士に依頼する場合は、住宅トラブルへの実績があるかどうかを判断基準にすると事務所を選びやすくなります。
外壁塗装の契約書は、業者とのトラブルを未然に防ぐために必要な書類です。
納得の行かない契約や損失を被るリスクを避けるためにも、記載内容が適切であるかを丁寧に確認しておくことをおすすめします。
また契約書に付随する他の書類も、契約書の内容をより具体的に理解するうえで大切です。
第三者とのトラブルや塗装後の不具合など万が一の事態に備え、書類の内容を理解してから契約書に捺印しましょう。
