スレート屋根に塗装は不要だとする意見もありますが、必ずしもそうとは言い切れません。
スレート屋根の塗装は、何を目的とするかで必要かどうかが変わります。
本記事では、スレート屋根に塗装が必要になる理由を解説します。
気をつけるべきポイントも紹介するので、スレート屋根の塗装を検討している方は参考にしてください。
スレート屋根は「カラーベスト」「コロニアル」とも呼ばれ、セメントを主成分とした屋根材です。
軽量で建物への負荷が少なく、色や形状が豊富なため住宅建材として使用される機会が増えました。
スレート屋根には塗装が不要とする意見もあります。
しかし、次のような観点から考えると塗装は必要です。
・撥水性や防水性を保ち屋根材を保護するため
・美観を保つため
理由を解説するので、塗装し直す必要があるか検討してください。
なお屋根の状態によっては、塗装以外の方法で補修する必要があります。
スレート屋根を塗装し直すと、低下した撥水性や防水性を回復できます。
スレート屋根は撥水性や防水性が低下すると、吸水しやすくなります。
吸水による膨張や、水分の乾燥による収縮は建材にダメージを与える要因です。
屋根材が脆くなり変形や欠け、割れにつながってしまいます。
コケや藻も生えやすくなり、住宅の美観も損ないかねません。
塗装によって防水性を高めると、凍害の影響も受けにくくなります。
またスレート屋根が割れたり、欠けたりすると交換する必要があります。
大がかりな工事が必要になり費用もかかるため、定期的に塗装によるメンテナンスを行って機能性を保つのがおすすめです。
スレート屋根が劣化すると、塗膜の色があせたりコケや藻が生えたりします。
屋根の色があせていると、建物全体が劣化して見えてしまいます。
屋根は面積が広いため、外観のイメージを大きく左右するからです。
塗装によるメンテナンスを行えば、艶が戻り色あせが気にならなくなります。
塗装する前に高圧洗浄で屋根の汚れやコケなどを除去するため、繁殖を止める効果もあります。
塗料によっては防藻・防カビ機能があるため、業者に相談しましょう。
スレート屋根を塗装し直すタイミングは主に2つです。
・塗装の耐用年数が過ぎている
・屋根に劣化症状が見られている
スレート屋根の塗膜は、約10年が耐用年数だといわれています。
実際には製品や環境によって耐用年数が変わるため、必ず10年で塗り直しのタイミングが来るわけではありません。
外壁より屋根の方が紫外線や雨風にさらされるため、同じ塗料を使っていても耐用年数が短くなる傾向があります。
また、屋根に劣化症状が見られる場合もメンテナンスを検討するタイミングです。
耐用年数を見極めたい、劣化の進み具合を知りたい場合、業者に調査を依頼するとよいでしょう。
劣化の進み具合が気になっても、自分で屋根に登るのは危険が伴うので避けてください。
スレート屋根の劣化症状には、次のようなものがあります。
・塗膜の色があせている
・コケや藻、カビが生えている
・釘や留め金具が抜けかけている
・ひび割れや欠けが生じている
劣化の進み具合によっては、塗装では対処しきれないケースもあります。
軽微な段階でメンテナンスを行いましょう。
スレート屋根に塗られた塗料は、紫外線の影響で劣化し色があせていきます。
水分を吸収し、変色する場合もあります。
色があせている屋根は、劣化によって塗膜の機能性も低下している状態だと考えてください。
塗膜が劣化すると、屋根材の表面に粉が浮き出るチョーキング現象も起きます。
塗装によるメンテナンスなどを検討しましょう。
スレート屋根の塗膜が劣化し、撥水性が落ちると水分を吸収しやすくなり、コケや藻、カビが生えやすい環境になります。
特に日当たりが悪い部分は湿度が高く、コケや藻が生えやすくなります。
方角によって屋根の劣化状態は違うため、さまざまな方向から確認しましょう。
コケや藻は繁殖して広がっていくため、美観を損ねてしまいます。
高圧洗浄できれいに洗い流し、塗装し直すのがおすすめです。
スレート瓦は釘や留め金具で固定されていますが、自然と抜けてしまうケースがあります。
スレート瓦は気温の変化により、膨張と収縮を繰り返しています。
結果として釘が押し出されてしまうのです。
押し出された釘を放置すると、屋根の内側に雨水が浸入してしまいます。
台風などの強風にあおられて剥げてしまう危険もあるため、早めに対処しましょう。
スレート屋根は雨水などを吸収すると膨張し、乾くと水分が抜けて収縮します。
膨張と収縮を繰り返すと徐々に歪みが発生し、ひび割れや欠け、反りが生じます。
一度破損・変形してしまった屋根材は元に戻りません。
塗装によるメンテナンスよりも、新しい屋根材への交換を検討しましょう。
スレート屋根の塗装には耐久性や防水性、美観を維持するために適切な塗料を選ぶことが欠かせません。
屋根は風雨や紫外線の影響を受けやすいため、外壁に使用する塗装と比較して耐用年数が短くなるので注意しましょう。
スレート屋根にはシリコン塗料やフッ素塗料、無機塗料が使用されることが一般的です。
シリコン塗料は他の塗料と比較してコストパフォーマンスに優れ、屋根に使用した場合の耐用年数は約4〜9年です。
フッ素塗料は耐久性が高く、屋根に使用した場合の耐用年数は6〜18年と長期間の保護が期待できます。
無機塗料は最も耐久性が高く、屋根に使用した場合の耐用年数は12〜18年ほどです。
無機物を含んでいるため色褪せしにくく、長期間屋根を美しく保てます。
メンテナンスの頻度を減らしたい場合や厳しい環境条件に対応するためには、耐久性の高い塗料を選ぶのがおすすめです。
塗料の特徴や費用対効果、屋根の劣化状態を考慮し、適切な塗料を選びましょう。
スレート屋根の塗装には、メリットとデメリットの両方があります。
塗装をすることで得られる効果は大きいものの、条件によってはデメリットや塗装が意味をなさない場合もあるかもしれません。
スレート屋根を塗装する際のメリットとデメリットについて解説します。
スレート屋根を塗装する一番のメリットは、防水性や耐久性の向上です。
塗膜により屋根材の劣化を防ぎ、長期間にわたり美観を維持できます。
耐久性の高い塗料を使用すれば、再塗装の頻度を減らすことができ、結果としてメンテナンスコストの削減にも有効です。
遮熱塗料を使用することで、夏場の室温上昇を抑える効果も期待できます。
スレート屋根の塗装には一定の費用がかかり、特に耐久性の高い塗料を選ぶとコストが高いです。
適切な下地処理がされないと塗料が剥がれたり、効果が短期間で失われたりする可能性があります。
信頼できる業者に屋根塗装を依頼すれば、再施工などのリスクが避けられるのでおすすめです。
塗装作業には時間がかかり、その間は屋根の保護が不十分になるため、天候による影響を受けやすいので注意しましょう。
スレート屋根の塗装が適していないケースも存在します。
既に屋根材が深刻に劣化している場合や塗装による補修が難しい状況では、塗装の効果は期待できません。
また2000年代に生産されたスレート材の一部は、塗装を行っても効果が薄いです。
スレート材の一部にアスベストを含まない代替素材が使用されており、塗装をしても防水性や耐久性の回復が難しいとされています。
屋根材がひび割れや損傷している場合、塗装だけでは不十分で、カバー工法や葺き替えなど根本的な補修が必要です。
スレート屋根の劣化が激しいのに塗装を行えば費用対効果が低く、逆に費用が無駄になる可能性があるので注意してください。
【塗装以外の補修方法】スレート屋根をカバー工法で直す
スレート屋根の劣化が進んでいる場合、塗装以外の補修方法にカバー工法があります。
カバー工法とは、既存屋根の上に新しい屋根材を重ねて施工する方法で、既存の屋根を撤去せずに補修できる点が特徴です。
塗装では表面の保護や美観を改善できますが、屋根材自体の損傷が進行している場合にはカバー工法をおすすめします。
塗装とカバー工法の違いや、カバー工法のメリット・デメリットについて解説します。
塗装とカバー工法の主な違いは、施工の範囲と目的にあります。
塗装は、既存のスレート屋根の表面に塗料を塗布することで防水性や美観を回復させる方法です。
一方で、カバー工法は屋根材自体が劣化している場合に、新しい屋根材を重ねて補修するため構造的な強化が期待できます。
カバー工法のメリットは、屋根の撤去作業が不要なため、廃材処理にかかるコストや時間を削減できる点です。
二重構造になることで、断熱性や防音性が向上する効果も期待できるでしょう。
さらに塗装では対応できない屋根材のひび割れや大規模な劣化にも対応できるため、長期間にわたる屋根の耐久性を確保できます。
一方で、塗装は簡単で比較的安価で施工が依頼できますが、カバー工法は施工費用が高くなることがデメリットに挙げられます。
屋根が重くなるため、建物の構造に負荷がかかり、耐震性に影響を与える可能性がある点も考慮が必要です。
塗装だけでは効果が十分でない場合もあるため、カバー工法を選ぶ際は、建物全体の状態を業者に確認してもらいましょう。
スレート屋根の劣化が深刻に進んでいる場合、塗装以外の補修方法として葺き替えがあります。
葺き替えとは、既存の屋根材をすべて取り除き、新しい屋根材に交換する工法です。
スレート屋根が著しく劣化している場合、塗装では効果が期待した効果が得られない場合があり、屋根全体をリフレッシュできる葺き替えが効果的です。
塗装と葺き替えの違い、そして葺き替えのメリットとデメリットについて説明します。
塗装と葺き替えの大きな違いは、補修の範囲と目的です。
塗装は既存の屋根材の表面に塗料を塗り、屋根材の劣化が軽度であれば、塗装で防水性や美観を回復できます。
葺き替えは劣化した屋根材をすべて取り除き、新しい屋根材に交換するため、屋根の寿命を大幅に延ばすことが可能です。
屋根材や防水シートが損傷している場合、塗装では十分な保護効果が得られないため、葺き替えが適しています。
葺き替えのメリットは、屋根材をすべて新しいものに交換するため、屋根全体の寿命を大幅に延ばせる点です。
防水シートや下地も新しくするため、雨漏りのリスクを大幅に減らせます。
最新の屋根材を使用すれば、耐久性や断熱性が向上し、住環境の改善にも有効です。
ただし葺き替えは、塗装に比べて費用が大幅に高いことがデメリットとして挙げられます。
屋根材の撤去や処分、工事期間が長くなるため、総コストが高くなることが一般的です。
工事中は騒音や振動が発生し、生活に一時的な影響があるかもしれません。
費用や工期は葺き替えの方が高くなりますが、根本的な補修を必要とする屋根には有効です。
葺き替えを選択する際は、費用対効果や屋根の状態を考慮して検討しましょう。
適切な業者選びは、長期的なメンテナンス費用の削減や屋根の耐久性向上に直結します。
スレート屋根の塗装を業者に依頼する際には、以下のポイントを確認しましょう。
・信頼できる業者を選ぶ
・業者の施工実績を確認する
それぞれのポイントについて説明します。
スレート屋根塗装を依頼する際、地域密着型の業者を選ぶことが重要です。
地域密着型の業者は、その地域の気候や環境条件に精通しているため、最適な塗料や施工方法を提案してくれます。
近隣に事務所があるため、アフターフォローやメンテナンスを迅速に対応してもらえる点も大きなメリットです。
地域での評判や口コミも信頼性を判断する基準となるため、事前にチェックして信頼できる業者を選びましょう。
業者選びでは、過去の施工事例を確認することも欠かせません。
施工事例を確認することで、業者の技術力や対応力を把握できます。
スレート屋根の塗装がどのように行われているのか、使用された塗料や施工後の仕上がりがどの程度のクオリティかを調べましょう。
施工事例は業者のホームページやブログに掲載されていることが多いです。
またスレート屋根での施工事例があれば、業者があなたの屋根に適した技術を持っているかどうかの判断材料になるのでチェックしましょう。
スレート屋根を塗装する場合、気をつけるべきポイントを紹介します。
・塗装をしたら縁切りは必須
・雨漏り修理に塗装は不適切
・DIYでの塗装は危険
ポイントを知っていると、失敗を避けられたり、手抜き工事に気づけたりします。
塗装を検討している方はチェックしておきましょう。
スレート屋根を塗装する場合、縁切りと呼ばれる作業は必須です。
縁切りとは、スレート瓦が重なっている部分に隙間をあけ、雨水が流れ出るようにする作業です。
雨水は瓦と瓦の間を流れていくため、隙間がなくなると雨水が逆流したり、屋根の内側に雨水が溜まったりしてしまいます。
最悪の場合、雨漏りにつながる可能性もあります。
そのため、塗料が完全に乾く前に隙間を作らなくてはなりません。
近年では、タスペーサーと呼ばれる製品を使う場合もあります。
瓦と瓦が重なっている部分に挿入し、適切な隙間を確保する製品です。
屋根からの雨漏りは、屋根材の欠けや割れ、板金の不具合などが原因で発生するケースが多いです。
そのため、雨漏り修理を目的とした塗装は適切な方法とはいえません。
「塗装すれば雨漏りが止まる」と、塗装をすすめる業者にはだまされないよう注意しましょう。
雨漏りは調査して原因を明らかにし、適切な方法で対処する必要があります。
DIYは費用を抑えられて手軽だと考える方もいるでしょう。
しかし、屋根塗装のDIYは落下の危険性があり危険です。
また、スレート屋根のなかには塗装によるメンテナンスが向かないものがあります。
加えて、耐久性が低くなったスレート屋根は、塗装のために屋根に登るだけで割れてしまったり、塗装前の高圧洗浄で屋根を傷めたりする可能性が考えられます。
メンテナンスするどころか、かえって屋根を傷めてしまうため、塗装以外の方法を検討しなければなりません。
専門知識がないと適切な判断が難しいため、業者に依頼した方が安全です。
スレート屋根の塗装はDIYではなく業者へ依頼しましょう
スレート屋根の塗装は、機能性を回復したり美観を保ったりする効果があります。
しかし製品によっては塗装が向かないものもあり、かえって屋根を傷めてしまう可能性があります。
また間違った施工は雨漏りの原因になったり再塗装が必要になったりするため、DIYはおすすめできません。
屋根の状態や、条件によって最適な塗料も異なるため、専門知識がある業者に依頼するのが安心です。
まずは屋根の状態を調査してもらいましょう。
植田板金店は点検・見積もりが無料です。
屋根の塗装について悩んでいる方はお気軽にご連絡ください。
