「瓦は塗装する必要があるのかな」
「瓦を塗装したらどんな効果があるのか知りたい」
このように思うことはないでしょうか。
瓦は人気のある屋根材の1つですが、メンテナンスのために塗装が必要かどうかについて、お悩みの方も少なくありません。
そこで本記事では瓦の塗装について詳しく紹介します。
瓦の塗装が必要かどうか、瓦を塗装するメリット・デメリット、DIYで瓦を塗装できるかどうかなどを解説しますので、ぜひご覧ください。
瓦は種類によって塗装が必要なものと不要なものがあるので注意が必要です。
主な瓦の種類は以下のとおりです。
・粘土系瓦
・セメント瓦
・スレート瓦
・金属瓦
それぞれの瓦の概要や塗装が必要かどうかを解説するので、瓦の塗装を検討している方はぜひご覧ください。
粘土系瓦とは、日本家屋や神社などでよく使われている瓦のことです。
いぶし瓦や陶器瓦、素焼き瓦などが当てはまります。
粘土系瓦はメンテナンス目的での塗装は必要ありません。
粘土系瓦は強い衝撃を受けると割れや欠けが発生することがありますが、含水性が低く雨水が染み込まないため、基本的にメンテナンスが不要です。
瓦の色を変更して屋根の印象を変えたい場合などであれば、粘土系瓦も塗装することもあります。
ただし瓦は塗装をしても塗膜がはがれやすいため、おすすめはできません。
塗装する場合は専用の塗料を使用する必要があるので、瓦を塗装する際は信頼できる塗装業者に相談するのがおすすめです。
セメント瓦はセメントと砂、水を混ぜて作られた瓦のことです。
セメント瓦は瓦自体に防水性がないため、定期的に塗装を施す必要があります。
製造時に塗装を施されていますが、経年劣化で塗膜がはがれると雨水を吸収しやすくなります。
塗膜がはがれた状態で放置すると、雨水を吸収してもろくなったりカビが繁殖したりしてしまいかねません。
塗膜がはがれた状態で雨水などにさらされないよう、定期的に塗装する必要があります。
塗装の目安は10〜20年程度です。
ただし環境や塗料の寿命などによっても異なるため、ご注意ください。
スレート瓦にも塗装が必要です。
スレート瓦は主成分がセメントなため、セメント瓦と同様に水を吸収しやすい性質があります。
製造時に塗装されていますが、劣化すると雨水を吸収しやすくなってしまいます。
スレート瓦の塗装の目安は8〜15年です。
ただし、目安よりも早く劣化する場合もあります。
屋根にカビが発生したり雨漏りが発生したりするなどしたら、早急にメンテナンスするのがおすすめです。
金属瓦にも塗装が必要です。
金属瓦は防水性が高く、水が染み込む心配は少ないです。
しかし金属のため、サビが発生してしまう可能性があります。
サビが発生した金属瓦を放置してしまうとサビが広がり、穴があいてしまうこともあるのです。
金属瓦のサビを防止するため、定期的に塗装する必要があります。
塗装の目安はトタン製で5〜10年、ガルバリウム鋼板製で10〜15年です。
塗装の際には、サビを研磨してサビ止めの塗料を下塗りする必要があります。
サビ止めをせずに塗装すると、サビが発生して広がりやすくなります。
DIYでは難しいため、信頼できる塗装業者に相談するのがおすすめです。
瓦の塗装には以下のメリットがあります。
・防水性を改善できる
・耐久性を向上できる
・外観を美しく保てる
防水性の改善と耐久性の向上は住宅の寿命にも関わるため、ぜひチェックしてください。
瓦の塗装が必要なセメント瓦・スレート瓦・金属瓦は、塗装せずに放置すると、雨漏りの発生につながる可能性があります。
瓦が雨水を吸収したり、サビて穴があいたりしてしまうためです。
瓦を防水効果のある塗料で塗装すれば、雨漏り防止に役立ちます。
塗料によっては藻やカビの発生を防ぐ効果があるため、湿気による被害を防げる可能性があります。
塗装する頻度は素材によって異なるため注意が必要です。
ご自宅の瓦の種類を確認して劣化する前に塗装を施すことで、防水効果を長く保てます。
瓦を塗装することで紫外線や雨水などによる損傷から瓦を保護できるため、耐久性を向上させることができます。
瓦は特に紫外線の影響で劣化するケースが多く、塗膜で保護することで材質の劣化を防ぐことが可能です。
瓦に小さな傷や亀裂などがある場合、塗装することで小さな傷や亀裂を塗料で埋めることができます。
塗膜で瓦に小さな傷がつきにくくなる効果も期待できるので、瓦の長寿命化にも寄与します。
瓦を塗装することで、外観を美しく保つ効果も期待できます。
瓦は紫外線で色あせたり雨風で汚れがついたりしてしまいます。
放置すると瓦の見た目がどんどん悪くなり、家全体が古い印象を与えてしまうことがあるため注意が必要です。
瓦を定期的に塗装することで外観を美しく保てます。
塗装で瓦の色を変えることも可能です。
外壁などとあわせて塗装することで、モダンな見た目に一新したり個性的な見た目に変えたりできます。
瓦の塗装は他の屋根材と比べてコストがかかります。
塗装する前に高圧洗浄での汚れの除去など、入念な下地処理が必要な分、時間や費用がかかってしまいます。
下地処理をおろそかにすると、仕上がりに影響するおそれがあるため省略できません。
瓦屋根は他の屋根と比べて凹凸が多く、作業に時間がかかってしまうことも難点です。
さらに瓦屋根は動きやすい傾向があるため、瓦同士で接触して塗膜がはがれてしまうこともあります。
塗膜がはがれた場合は再度塗装する必要があり、さらにコストがかかってしまいかねません。
ただし塗装することで防水性や耐久性、外観の向上といったメリットがあります。
長期的に見るとコストパフォーマンスは良いことが多いため、メリット・デメリットを検討した上での判断が必要です。
瓦を塗装する適切なタイミングは以下のとおりです。
・瓦の表面が変色している
・瓦の表面にコケや藻が発生している
・瓦の表面の塗膜のはがれやチョーキングが起こっている
・瓦のメンテナンス時期を迎えたとき
どのような症状が現れたらメンテナンスをするべきか、どの時期に手入れを検討した方が良いか説明しますので、ぜひ参考にしてください。
瓦の表面が変色している場合は、瓦の塗装をし直すのがおすすめです。
紫外線や雨風によって塗装が弱まると、瓦の表面の色があせてきます。
塗膜の艶がなくなり色あせがおこるのが、瓦屋根の劣化の初期症状です。
遠くから瓦屋根を見ると色あせていたり、建てたばかりの頃よりもぼんやりとした色に見えたりしたら、専門業者に点検してもらいましょう。
瓦の表面にコケや藻が発生している場合は、瓦屋根の塗装をし直す方がいいでしょう。
屋根の瓦の表面に発生する茶色のものは、コケや藻です。
コケや藻は水はけが悪い箇所や、日陰になる時間が長い箇所で発生しやすくなります。
瓦の表面にコケや藻が発生するのは、表面の防水性が失われていることの表れです。
カビ・コケなどが瓦内部に侵入すると耐久性が低下してひび割れが発生しやすくなるため、早急に対処しましょう。
瓦の表面の塗膜のはがれやチョーキングが起こっている
瓦の表面の塗膜のはがれやチョーキングが起こっている場合も、再塗装が必要です。
チョーキングは塗料に含まれる合成樹脂や顔料などが、粉状となり表面に現れる現象のことです。
このように瓦表面の塗膜が劣化した状態を長期間放置すると、風雨によって塗膜が流れ落ち、瓦の本体が剥き出しになってしまいます。
特にセメント瓦はセメントの成分であるカルシウムが流出することで骨材が表れ、瓦表面にざらつきなどが生じます。
塗膜が剥がれてしまうと耐水性が低下して雨漏りが起きやすくなるため、できるだけ早く修理を依頼しましょう。
瓦の塗装をする時期を知りたい場合は、瓦のメンテナンス時期も参考にしましょう。
瓦の種類別の塗装のメンテナンス時期は以下のとおりです。
・セメント瓦：10～20年
・スレート瓦8～10年
・金属瓦：5～15年
メンテナンス時期を過ぎると塗装が劣化してくるため、家を施工してからどのくらい経過しているかも考慮してメンテナンスをすべきか検討してみてください。
瓦の塗装にかかる費用の変動要素は以下の通りです。
・使用する塗料のグレード
・劣化具合や範囲の広さ
・建物の構造や面積
なぜ瓦の施工費用に差が出るのか気になる方はチェックしてみてください。
瓦の塗装にかかる費用は、使用する塗料のグレードによって異なります。
瓦に使う塗料には、シリコン塗料・フッ素塗料・無機塗料があります。
シリコン塗料は最も手頃な価格で耐久性と伸縮性に優れ、塗膜の付着力が高いのが特徴です。
さらに耐熱性や防カビ性にも優れています。
フッ素塗料はシリコン塗料よりは価格が上がるものの、天候の変化に強い高い耐候性と汚れに強い特性を持っています。
下地としっかり密着するため、長い間変色やサビを防げるのもメリットです。
さらに親水性に優れており、防水性が高く汚れにくいのもポイントです。
無機塗料はセラミックやケイ素といった無機物を主成分としており、シリコン塗料やフッ素塗料より価格が高くなります。
無機物は紫外線にさらされても劣化しないため、耐久性が高いのが特徴です。
親水性も高いため汚れが付着しにくく、雨水できれいに洗い流されます。
瓦に塗る塗料を選ぶ際はそれぞれの特徴も比較し、自分が求める条件に合うものを選んでみてください。
瓦の塗装にかかる費用は、劣化具合や範囲の広さによって異なります。
瓦の塗膜の剥がれが進んでいたりコケが全体に広がっていたりするなど、症状が深刻で劣化の範囲が広いと修繕費用がかさんでしまいます。
劣化が進んでから修繕すると費用が高額になってしまうため、定期的にメンテナンスしておくのがおすすめです。
瓦の塗装にかかる費用は、建物の構造や面積によっても差が出ます。
3階以上の建物や家の面積が広い場合、追加費用が発生するので注意が必要です。
3階以上の場合は通常より足場を高く積む必要があるため足場代が高くなります。
さらに施工日数が長くなるため人件費も上乗せされます。
屋根の傾きが急な場合や複雑な形の場合も施工費用が高くなるため、事前に見積もりを取っていくらくらいかかるか把握しておきましょう。
瓦の塗装工事の全体の流れは以下の通りです。
・高圧洗浄
・下地処理
・下塗り
・中塗り
・上塗り
それぞれの工程でどのような作業をするのか紹介します。
まずは瓦屋根の表面を高圧洗浄して、汚れなどを洗い落とします。
瓦屋根の表面に汚れが残っていると、せっかく塗料を塗っても剥離を起こす危険が高まるため、高圧洗浄機を使ってしっかり落とすのが重要です。
高圧洗浄で取り切れなかったカビや苔、塗膜などが残っている場合は手作業（いわゆるケレン作業）で汚れを落としていきます。
乾燥はたっぷりと時間をかけて行い、表面が傷んでいて吸水しやすくなっている場合はしっかり乾かしましょう。
高圧洗浄で汚れを洗い流して乾燥させたら、瓦の下地処理を行います。
瓦がひび割れている箇所をコーキング材で一つずつ補修し、表面を整えます。
この下地補修をしていないと、塗装で表面だけきれいになっても数年後に同じところからひび割れてしまうので、しっかり補修しておきましょう。
瓦の下地処理をしたら下塗りを行います。
下塗りは瓦屋根と塗料の接着剤の役割をするので、適切な量をしっかり塗るのが重要です。
劣化が進んでいる場合、瓦が想像以上に塗料を吸い込むことがあるため、その場合は2回以上重ねて塗りましょう。
下塗りが終わったらいよいよ塗料を塗っていきます。
仕上げの塗装は中塗りを上塗りの2回に分けて塗っていきます。
広い面はローラーを使い、細かいところはハケを使ってムラの無いように塗っていきましょう。
また、1回塗料を塗るごとに乾燥時間をあけるのが重要です。
すでに塗った塗料がしっかり乾燥しきる前に塗装してしまうと塗膜の厚みを十分に確保できないため、しっかり乾かしてから次の作業に取りかかりましょう。
屋根瓦の塗装はプロでも難しい場合があるため、自分で行わず塗装業者に依頼するのがおすすめです。
塗料自体はネット通販サイトやホームセンターなどで販売されているため、自分で塗装することも不可能ではありません。
ただし、屋根での作業は自分が屋根から落下したり屋根を破損させたりする可能性があります。
塗装できたとしても仕上がりにムラがあると、期待した効果が得られなかったり耐久性に影響が出てしまったりしてしまいます。
期待した効果が得られず、施工業者に塗り直してもらうことになると追加費用が必要です。
塗装の効果や安全のためにも、最初から専門の塗装業者に依頼するのがおすすめです。
瓦の塗装をする際の注意点は以下の通りです。
・下地処理を十分に行う
・下塗り材をしっかり塗布する
・タスペーサーで縁切りをする
・錆止め材を塗布する
瓦の塗装を失敗しないようにするポイントをお伝えしますので、これから瓦の塗装をする予定の方はチェックしてみてください。
瓦の塗装をする際は、下地処理をしっかり行うことが重要です。
特にセメント瓦の一種であるモニエル瓦は、表面にスラリー層というセメントのペーストが吹き付けられているため、苔やカビなどの汚れがこびりつきやすくなっています。
そのため高圧洗浄でしっかり汚れを洗い落とし、ケレンで錆びた部分を削っておく必要があります。
塗膜が剥がれるのを防ぎ塗装を長持ちさせるため、下地処理をしっかり行っておきましょう。
瓦の塗装をする際は、あらかじめ下塗り材を塗っておきましょう。
下地処理を行った瓦は、表面の弱い塗装が除去され素地が剥き出しになっているため、下塗り材を吸収しやすくなっています。
下塗り材が不足していると上塗り材とうまく密着せず、耐久性の低下につながります。
下塗り材の吸い込みが止まらない場合は、もう一度塗布して下地を補強しておきましょう。
スレート瓦を塗装する際は、瓦同士の縁を切ってすき間を作る縁切り作業をしておきましょう。
スレートは薄い瓦を重ねているため、塗装をすると瓦同士のすき間が埋まってしまい、雨漏りの原因になります。
タスペーサーを差し込んでおけば簡単に縁切りができ、水はけがよくなります。
金属系の瓦を塗装する場合は、錆止め材を必ず塗りましょう。
錆止めを塗らずに塗装をしてしまうと、年数が経ったときに錆が広がってしまう恐れがあります。
業者から使用する塗料について説明を受ける際、錆止め効果がある下塗り材かどうか確認しておいてください。
瓦の塗装に適した時期について解説します。
気候が安定しているため、多くの地域で屋根の塗装に適しているのは春です。
ただ寒冷地の場合は春でも気温が低いため、夏の方が良い場合もあります。
気温が低く湿度が高い状態で塗装をすると、施工不良になって塗料が剥がれやすくなります。
早朝に露や霜が降りる時期も、一度乾燥しないと塗装できないため注意が必要です。
また梅雨や台風の時期は天候が不安定なため、計画通りに施工できないリスクがあります。
さらに気温が高くなる真夏の施工の場合、塗装に気泡が発生しやすくなります。
瓦屋根の塗装を行う際は季節も考慮し、施工がスムーズに行える時期を選ぶと良いでしょう。
屋根瓦の塗装は難しい作業となるため、業者選びが重要です。
瓦の塗装業者を選ぶ際には、以下のポイントをチェックするのがおすすめです。
・瓦塗装の施工実績が豊富
・地域密着で長く営業している
上記をチェックすることで、信頼できる業者を選べたり悪徳業者を避けたりできます。
屋根瓦の塗装を依頼する業者をお探しの方はぜひご確認ください。
依頼する塗装業者に瓦塗装の施工実績があるか、確認するのがおすすめです。
瓦の種類によっては塗装の経験がなかったり、対応していなかったりすることがあります。
自宅で使われている瓦の種類を確認し、同じ種類の塗装実績のある業者を選ぶと安心です。
なかでも実績が豊富な業者であれば、不測の事態であっても柔軟に対応してもらえます。
多くの施工業者はホームページに施工実績を掲載しています。
依頼する前に確認しておくのがおすすめです。
地域密着で長く営業している業者もおすすめです。
地域密着で長く営業している施工業者は、信頼できる優良業者である可能性が高くなります。
悪徳業者であれば地域で悪評が広まりやすく、長く営業しづらくなるからです。
地域密着で長く営業していれば実績も豊富なことが多く、何かあったときにも柔軟に対応してもらいやすいのもメリットです。
業者に依頼する前に、インターネットなどでお住まいの地域でどのくらい営業しているか、創業年や評判などをチェックしましょう。
長く営業していて評判の良い業者を選べば、悪徳業者を避けて、信頼できる業者を選べる可能性が高くなります。
瓦は種類によって、塗装が必要なものと不要なものがあります。
塗装が必要なセメント瓦・スレート瓦・金属瓦は、塗装せずに放置すると雨漏りの発生などにつながる可能性があるため注意が必要です。
適切なタイミングで塗装をすることで、瓦の防水性の改善や耐久性の向上などが期待できます。
時間や費用は必要ですが、長期的に見ればコストパフォーマンスが良いケースが多いため、定期的に塗装を実施するのがおすすめです。
ただし瓦の塗装は種類によって、対応していない業者もあります。
塗装を依頼する際には、自宅の瓦の種類の施工実績があって信頼できる業者にご相談ください。
