クリア塗装とは無色透明の塗料を使う塗装方法のことです。
一般的な色付きの塗料を使って行う塗装とは異なり、既存の外装材の意匠性を活かせる塗装方法です。
無色の仕上げになる分、ツヤと光沢が出て高級感のある仕上がりになります。
当記事ではそんなクリア塗装の特徴やメリット、デメリットについて解説しています。
クリア塗装を検討している方はぜひ最後まで読んでください。
クリア塗装とは無色透明の塗料を使って外壁を塗装する方法です。
通常の塗料とは違い、色を付けるための顔料が含まれていない塗料を使用します。
外壁にツヤを出し光沢のある仕上がりになり、外壁を保護するコーティングの役割を持った塗料です。
既存の外壁の色や模様を残すことができるので、現在使用しているサイディングが気に入っている場合に使いたい塗装方法です。
現在の外壁の雰囲気を変えずに塗装を行うことができます。
一方で傷やヒビが入っている場合は、塗料を上塗りして隠すことができなくなるので注意が必要です。
クリア塗装を行うことには以下のようなメリットがあります。
・外壁の色や風合いをそのまま残すことができる
・塗装回数が1回分少なくなり、工期や費用を抑えることができる
・光沢のある仕上がりにできる
それぞれ詳しく解説していきます。
クリア塗装は無色透明な塗料を使うので、既存の外壁の色や風合いをそのまま残すことができます。
一般的に使用される色付きの塗料は既存の色や柄の上から塗装するので、元のデザインが目立たなくなってしまいます。
クリア塗装にはその心配が不要です。
デザイン性が高いサイディングを使用しているのであれば、クリア塗装をすることで既存の外壁をさらに長く使えるようにしましょう。
塗装回数が1回分少なくなり、工期や費用を抑えることができる
通常の塗料を使って塗装するとき、塗装は3工程に分かれています。
下塗り、中塗り、上塗りという工程です。
この順序で塗装することで塗料の密着性が高まり、塗装がはげにくくなります。
しかしクリア塗装は、下塗りを行う必要がありません。
中塗りと上塗りだけで済むので工程が3分の2になります。
そのため工事の期間を縮めることができ、さらに施工にかかる費用も抑えやすくなるでしょう。
クリア塗装をすることで外壁を光沢のある仕上がりにできます。
イメージとしては床のワックスがけに近いです。
光の乱反射を抑えてツヤを出し、美観性を高めてくれます。
塗料によってツヤ消し、3分ツヤ、5分ツヤ、7分ツヤと種類があるので、お好みに応じて使い分けることが可能です。
数字だけではわかりにくいので実際にどの程度のツヤが出るのかは業者に相談してみてください。
クリア塗装にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
・外壁の傷や汚れが目立つ可能性がある
・相性の悪い外壁が多い
・塗装のサイクルが早くなる
以上のデメリットがあることを理解したうえでクリア塗装をするかどうかを検討してください。
それぞれのデメリットについて解説していきます。
クリア塗装は無色透明な塗料を使用するため、傷や汚れが目立つ可能性があります。
既存の外壁に傷や汚れがある場合、一般的な塗料であれば色つきの塗膜で目立ちにくくできますが、クリア塗装ではそうはいきません。
ツヤや光沢が出るので場所によってはかえって目立ってしまう可能性もあります。
たとえば、外壁にヒビが入った状態でクリア塗装をすると見映えが悪くなります。
外壁が痛んでいる場合には、先に外壁の補修をすることや色付きの塗料で塗装することを検討しましょう。
クリア塗装には相性の悪い外壁があります。
それは光触媒や無機コーティングのされている外壁です。
これらのコーティングがされているとクリア塗料の塗装のりが悪くなってしまい、塗膜を形成しにくくなります。
塗膜がうまく形成されないと塗装面の防水性の低下や、ひび割れを招いてしまう恐れがあるので注意してください。
ただし近年では技術の進歩によって、塗料の種類によってはクリア塗装ができる場合もあります。
クリア塗装と外壁の相性については業者へ相談してみましょう。
一般的な塗料を使って塗装を行うときと比較して、クリア塗装は「傷やヒビのない状態」が重要です。
無色透明な塗料を使うので、傷やヒビが目立ってしまうからです。
そのため、外壁に劣化が生じる前に再塗装する必要があります。
一般的な塗料よりも速いサイクルで次の塗装を行い、きれいな外壁を維持する必要があるのがデメリットと言えます。
クリア塗装を行うのに適した外壁について解説します。
御自宅がこれらの外壁の場合はクリア塗装をすることをおすすめします。
・レンガ調やタイル調のサイディング
・モルタル
・タイル
それぞれの特徴について見ていきましょう。
レンガやタイルをあしらったサイディングを使用している場合は、クリア塗装をすることをおすすめします。
現代は外壁も進化しており、本物のレンガそっくりのようなサイディングも存在します。
デザイン性が高く凹凸のある仕上がりになっているサイディングを使っている場合は、既存の雰囲気や特徴を活かすことができるクリア塗装がおすすめです。
ご自宅の外壁がモルタルの場合はクリア塗装が適しています。
モルタルはセメントと砂に水を混ぜて生成したものです。
レンガ同士をくっつける時、間に塗られる素材です。
外壁に塗られているモルタルは無機質で自然な風合いになります。
この風合いを生かすためにもクリア塗装をおすすめします。
ご自宅の外壁がタイルの場合もクリア塗装をおすすめします。
タイルは凹凸があるため、陰影を作ることのできる外壁です。
またタイルごとに色の濃さが若干異なるため、自然とグラデーションができるデザイン性の高い外壁です。
タイルの特徴を生かすためにもクリア塗装が適しています。
すべての外壁でクリア塗装を行えるわけではありません。
クリア塗装ができない外壁もあります。
・外壁に特殊なコーティングがされている
・外壁にひび割れがある
・金属系サイディングの外装材が使われている
・クリア塗装を行ったことがある
これらの条件に当てはまる外壁はクリア塗装ができないので、通常の外壁塗装を検討しましょう。
それぞれの状況について解説していきます。
外壁に特殊なコーティングがされていると、上からクリア塗装はできません。
例えば無機塗料などの耐汚性の高い塗料は、汚れだけでなく塗装も定着しにくいです。
塗料の定着性も考えて、コーティングされている塗料へのクリア塗装は避けましょう。
外壁にひび割れがあるとクリア塗装は難しいです。
通常の塗料はひび割れがあっても色つきの塗料で塗るので、目立ちにくくなります。
ところが、クリア塗装だと無色透明のため、ひび割れが隠せません。
また、仮に補修したとしても補修跡が目立ってしまいます。
クリア塗装は既存の外壁の模様が活かせるのが魅力ですが、傷やひび割れなども残ってしまうので注意しましょう。
金属系のサイディングは最初から表面にコーティングされていることが多いです。
このコーティングの上から塗装しても塗料が定着しにくいです。
塗料を上から塗っても塗膜がはがれやすくなってしまうので、金属系サイディングの上からのクリア塗装は避けましょう。
クリア塗装を行ったことがあると、再塗装は難しいです。
劣化したクリア塗装が、新しく塗ろうとしているクリア塗料の塗膜の仕上がりに影響してしまうからです。
塗装のノリが甘くなったり、塗装ムラができやすくなったりするので避けましょう。
クリア塗装を実際に行っていく手順を紹介していきます。
・高圧洗浄
・中塗り
・上塗り
以上の手順についてそれぞれ見ていきましょう。
まずは既存の外壁を洗浄していきます。
外壁は経年劣化によって汚れが付着していたり、カビやコケが生えたりします。
まずは塗装を行う前に高圧洗浄を行い、既存の外壁をきれいにしてから塗装開始です。
しっかりと高圧洗浄ができれば、外壁と塗料が密着しやすくなります。
塗料のノリがよくなり、きれいな仕上がりになります。
一般的に外壁塗装は下塗り、中塗り、上塗りと3回の塗装が必要です。
3回塗っていくことで塗料が外壁に密着しやすくなります。
ところが、クリア塗装は下塗りの工程が不要です。
中塗り、上塗りの2工程だけで済むので、工期が短くて済みます。
中塗りの工程では外壁の上にローラーや刷毛で丁寧に中塗り用の塗料を塗っていきます。
最後に上塗りをします。
上塗りは外壁塗装の一番外側で、塗料の性能を発揮させるための役割を担っています。
外壁塗装がきれいに仕上がるかどうかはこの工程で、丁寧に塗れるかが重要です。
外壁を保護する効果のある塗膜を作るのもこの工程です。
クリア塗装は中塗りと合わせて2回塗ることできれいな仕上がりになります。
外壁へクリア塗装を行う際の金額は一律に決まっているわけではありません。
価格が変動する様々な要素があります。
・塗料のグレード
・塗装する面積
・足場の有無
これらの価格を変動する要素についてそれぞれ理由を見ていきましょう。
クリア塗装に使用する塗料は、様々なメーカーからいろんな塗料が販売されています。
塗料の耐久性に応じてグレードがあり、グレードによって費用が変動します。
グレードの高い製品は価格も高くなりますが、耐久性も高いです。
そのほかにも、コーティング機能が付与されているなど差別化されています。
反対にグレードの低い安価な塗料もあります。
予算に応じて塗料を選定しましょう。
塗装する面積によって費用は変動します。
家の面積が大きければ大きいほど、費用は高くなります。
平屋と3階建てでは、3階建ての建物の方が必要な塗料が多いです。
さらに施工難度も上がるので、施工費用も高くなります。
足場の有無によって、塗装の費用は変動します。
平屋で高い位置の塗装が必要ない場合は、足場の設置が不要になるかもしれません。
その際は費用を抑えられます。
また、2階建ての建物よりも3階建ての建物の方が足場にかかる費用は高くなります。
足場は安全上、絶対に必要です。
どのような足場を立てるかが、費用が変動する要素になります。
外壁が劣化していると追加の費用がかかるかもしれません。
劣化が進んでいると、ひび割れや傷が入っているかもしれません。
これらを補修するために費用がかかります。
適切な耐用年数に応じて再塗装をすることで、一度にかかる費用を抑えるようにしましょう。
クリア塗装を実施する前には注意すべきポイントがあります。
・チョーキングが発生していないかを確認する
・コーキングの上からクリア塗装はできないことを知っておく
これらのポイントについて解説していきます。
チョーキングとは塗膜の中の顔料が表面に浮き出てきて、白っぽく粉状になる現象のことです。
外壁を触ると手に白い粉がついてしまいます。
このチョーキングが発生している場合は、クリア塗装をすると白い粉が塗膜の下に入り込んでしまい密着性や耐久性が損なわれてしまいます。
チョーキングは南側の日光の当たりやすい外壁面に発生しやすいです。
チョーキングが発生しているとすでに外壁の色落ちをしている可能性が高いので、クリア塗装は避けた方が良いでしょう。
コーキングの上からクリア塗装はできないことを知っておく
コーキングとは、外壁と外壁材の接合部に充填するゴム状の部材のことです。
このコーキングにはクリア塗装はできません。
なぜなら、コーキングの上からクリア塗装をすると、コーキングが劣化しやすくなる恐れがあるためです。
万が一コーキングが劣化して切れてしまうようなことがあると、住宅の内部に雨水が浸入してしまう可能性があります。
クリア塗装を行う時、コーキング部にはツヤが出せないことは知っておいてください。
代表的なクリア塗料の製品を3つ紹介します。
・ピュアライドUVプロテクトクリヤー
・SKシリコンクリヤー
・無機ハイブリッドクリヤー
紹介しているのは一部だけです。
これらの情報を参考にして、自分にあったクリア塗料を選びましょう。
ピュアライドUVプロテクトクリヤーは日本ペイント製の塗料です。
無色透明なのに紫外線をカットする効果が付与されており、耐候性の高い塗料になっています。
紫外線は塗膜の劣化要因になりますが、「UVプロテクト」の名前の通り紫外線による劣化を軽減できる塗料です。
さらにセルフクリーニング機能が付いており、付着した汚れを雨水によって洗い流してくれます。
SKシリコンクリヤーはエスケー化研製の塗料です。
アクリルシリコン樹脂の塗料で、優れた耐久性を発揮してくれます。
水性塗料なので、大気汚染の原因となる揮発性有機化合物の発生が抑えられ環境にも優しいです。
ツヤありと3分ツヤが選択可能な塗料です。
無機ハイブリッドクリヤーはアステックペイント製の塗料です。
無機塗料なので、耐久性や耐汚性が高いのが特徴です。
セルフクリーニング機能も付いているので、付着した汚れを雨水によって流してくれます。
表面は傷の入りにくい硬い塗膜を作ってくれる点も魅力です。
クリア塗装をした後は適切なメンテナンスを行い、外壁をきれいに保ちましょう。
・定期的な清掃
・適切な補修
・塗り替え
これらのメンテナンス方法についてそれぞれ解説していきます。
外壁は外にあるので、必ず汚れます。
汚れがあると、外壁の見映えが悪くなります。
定期的に清掃してあげることで、外壁をきれいに保ちましょう。
カビやコケが生えにくくなるので、劣化が遅くなるという効果もあります。
手が届く範囲は自分で清掃するのも良いですが、高い位置に関しては専門の業者に依頼しましょう。
経年によって塗装の表面にひび割れが生じたり、飛散物によって傷が入ったりするかもしれません。
ひび割れや傷は放置していると広がる可能性があります。
状況を確認して必要があれば、業者に補修を依頼しましょう。
DIYで行うのは難しいので、専門業者への依頼をおすすめします。
外壁塗料には耐用年数があります。
クリア塗料の耐用年数はメーカーや塗料の主成分によって異なります。
選んだ塗料の耐用年数を確認して、その年数が経過したら塗り替えを検討しましょう。
グレードによって耐用年数は変わるので、塗り替えの頻度を減らしたい方は耐用年数の長い塗料を選びましょう。
外壁へクリア塗装を行うときは業者に見積もりを取ろう
