新築住宅やリフォームでガルバリウム鋼板を使用する際、塗装が必要なのか悩む方もいるでしょう。
なぜガルバリウム鋼板に塗装をするのか、目的がわかれば必要かどうかの判断もしやすくなります。
本記事では、ガルバリウム鋼板に塗装する目的や使用する塗料を紹介します。
再塗装のタイミングについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
ガルバリウム鋼板を塗装するのは、以下のような目的のためです。
・防水性を高める
・耐久性を維持する
・美しい外観を保つ
それぞれのポイントを解説します。
塗装を行うと、ガルバリウム鋼板表面の防水性が高まり錆の発生を予防できます。
ガルバリウム鋼板は錆びにくい素材ですが、絶対に錆びないわけではありません。
特に屋根や外壁に使用すれば雨風にさらされ続けるため、傷みやすい環境にあるといえます。
塗装で防水性を高めれば、さらに錆の発生を抑制できるでしょう。
ガルバリウム鋼板は傷つきやすい素材のため、塗装には耐久性を維持する効果もあります。
何もせずに放置しておくと、雨風や紫外線の影響を受けて劣化が進みやすくなるでしょう。
ガルバリウム鋼板は傷から錆が発生するため、耐久性を高める必要があります。
ガルバリウム鋼板を塗装すると、防水性や耐久性を高められるため、美しい外観を長く保てます。
色があせていたり傷がそのままになっていたりすれば、外観のイメージが損なわれます。
美しさを保つため定期的に塗り直しも行いましょう。
ガルバリウム鋼板の塗装方法について解説します。
・表面の処理
・下塗り
・中塗りと上塗り
3つの工程に分けて、具体的な内容を紹介します。
まずは屋根全体を洗浄し、表面についている汚れを落とします。
ガルバリウム鋼板は外部からの圧力に弱い性質があるため、高圧洗浄機は使用しないのが一般的です。
変形や傷の原因になる恐れがあります。
ガルバリウム鋼板は表面がつるつるしているため、表面をざらつかせる「目荒らし」と呼ばれる処理が必要です。
ガルバリウム鋼板を長持ちさせるために錆・汚れを取り除く「ケレン処理」もしくは「下地処理」と呼ばれる作業を行います。
劣化した古い塗膜や、汚れ・錆・コケが残っていると塗装を行っても剥がれやすくなってしまうため、下地処理は非常に重要です。
なかには下地処理を行わない業者もいますが、仕上がりに大きな差が出ます。
見積もりの段階で、下地処理を行うか確認しましょう。
屋根の状態によってはこの段階で補修作業も行います。
表面の処理が終わったら下塗りを行います。
下塗りを行わないと、中塗り・上塗りの塗料が下地とうまく接着できません。
ガルバリウム鋼板には、密着性の高いプライマーを使用するケースが多いです。
「防錆プライマー」で下塗りを行うと、ガルバリウム鋼板に錆が発生するのを防いでくれる効果も期待できます。
下塗りが乾いたあと、中塗り・上塗りを行います。
「中塗りはいらないのではないか」と考える方もいますが、色ムラを抑えられるうえ耐久性がより高くなります。
基本的に、中塗り・上塗りは同じ塗料を使用するケースが多いです。
同じ塗料を使うと節約になるほか、数年後に塗膜が剥がれてきても、見た目に大きな変化が起きにくいメリットがあります。
使用する塗料は色・予算・性能によって選びましょう。
ガルバリウム鋼板を再塗装・補修するタイミングを紹介します。
・劣化のサイン
・再塗装の時期
条件によって劣化の進み方は異なるため、自宅の屋根の状態を確認すると確実です。
ガルバリウム鋼板が劣化したサインには、錆・色あせ・浮きなどがあります。
ガルバリウム鋼板は錆びにくい素材ですが、絶対に錆びないわけではありません。
傷がついた部分から発生する赤錆、高温多湿な状況や海の近くで発生しやすい白錆、他の金属から錆びをもらってしまうもらい錆などがあります。
ガルバリウム鋼板は傷がつきやすいため、強風による飛来物・雹（ひょう）・霰（あられ）などで変形する可能性もあるでしょう。
錆は放置すると屋根全体に広がってしまいます。
早い段階なら、錆を取り除いて部分的に塗装し直すだけで済みます。
次に、色あせは新築時と比べて色があせて薄くなっている状態です。
塗膜の効果が落ちている状態のため、塗り替えリフォームを行いましょう。
浮きはガルバリウム鋼板が浮いてしまっている状態で、雨漏りの原因になります。
重ね葺き・カバー工法でリフォームを行いましょう。
ガルバリウム鋼板の再塗装の時期は一般的に約10～20年といわれていますが、気象状況・立地条件などで前後します。
ガルバリウム鋼板の色があせてきたと感じたら塗装業者に相談しましょう。
色あせや劣化に気づけるよう定期的なメンテナンスを行うと安心です。
ガルバリウム鋼板の塗装には、次のような塗料を使います。
・シリコン塗料（耐用年数7～15年）
・フッ素塗料（耐用年数15～20年）
・無機塗料（耐用年数15~25年）
各塗料の特徴について解説します。
ガルバリウム鋼板は熱に影響をうけるため、伸縮性のあるシリコン塗料を使って塗装するのが一般的です。
伸縮しない固い塗膜になる塗料は、ヒビ割れが発生しやすくなります。
また、耐用年数が高いほど塗料の価格が高くなります。
塗料によってそれぞれ特徴が異なるため、違いを見比べたうえで使用する塗料を選びましょう。
シリコン塗料は、アクリル樹脂とシリコン樹脂を混ぜたものです。
耐久性と伸縮性に優れ、塗膜の付着力が高いのが特徴です。
耐熱性や防カビ性にも優れているため、塗膜が劣化するとサビが発生しやすいガルバリウムの塗装に適しています。
シリコン塗料は他の塗料に比べると安価で、耐用年数も比較的長いのがポイントです。
フッ素塗料は耐候性が高く、風雨や温度の変化、太陽光などの天候による劣化や変質を起こしにくいのが特徴です。
また親水性に優れており防水性が高いため、きれいな状態を長く維持でき、メンテナンスの手間を軽減できます。
フッ素塗料で塗装をすると、光沢感のある美しい仕上がりになるのも魅力です。
下地としっかり密着するため、時間が経過しても変色やサビを防げます。
フッ素塗料で塗装した屋根はメンテナンスが楽なので、効果が持続する塗料を使いたい方におすすめです。
無機塗料はセラミックやケイ素といった、無機物を主成分としている塗料のことを指します。
無機物の特徴は「紫外線にさらされても劣化しにくい」ところにあり、耐久性が半永久的に持続します。
無機塗料は親水性も高いため汚れが付着しにくく、雨水で汚れが洗い流されます。
そのため建物の日当たりが悪く、屋根のカビや苔が気になる方におすすめです。
ただし無機塗料は他の有機塗料と比較したときに価格が高めであることから、予算も考慮して使用するかどうか決めましょう。
ガルバリウム鋼板の塗装を依頼した場合、費用の内訳は以下のようになります。
・足場の設置費用
・高圧洗浄の費用
・飛散防止ネットの費用
・養生費用
・補修費用
・下地処理費用
・塗料代
・諸経費（現場管理費、廃材処理費など）
屋根の状態によって必要な工程が変わるため、費用の内訳も異なります。
足場の設置費用は安くありませんが、作業する業者の安全に関わるものと理解してください。
高圧洗浄の水や塗料が近隣住宅へ飛ばないよう、養生する必要もあります。
また使用する塗料によっても金額が異なります。
最も低価格なのはシリコン塗料で、フッ素塗料はシリコン塗料より価格が高くなり、無機塗料が最も高価です。
そのためできるだけ費用を抑えたい方は、シリコン塗料がおすすめです。
それぞれの機能を比較し、予算も考慮したうえで使用する塗料を選んでみてください。
なお屋根の傾きが急だったり特殊な形をしていたりする場合は、追加費用がかかります。
さらに錆が広範囲に広がっているなど、屋根の劣化状態によっても金額が変わり、自宅の面積が広くなるほど費用がかかります。
見積もりを依頼した際は、下地処理・下塗り・足場代・養生費用が含まれているか確認しましょう。
後から追加費用を請求されないよう、疑問に思った点は事前に確認しておくと安心です。
ガルバリウム鋼板の塗装をする際の注意点は以下のとおりです。
・屋根の表面をしっかり洗浄しておく
・下地処理を行う
・下塗り材を塗る
これらの注意点を守らないと、塗料の機能が上手く発揮されないので、塗装をする際にチェックしておきましょう。
ガルバリウム鋼板の塗装をする際は、屋根全体を高圧洗浄し汚れやコケなどを落としておきましょう。
はじめに洗浄しておかないと、下地材がうまく付着せず仕上がりが良くないので、しっかり洗い流しておきます。
ガルバリウム鋼板の屋根の表面についた汚れやゴミなどを取り除いたら、劣化した古い塗膜や錆を除去する下地処理（ケレン）を行います。
ケレンを実施する際に、ガルバリウム鋼板の表面に小さな傷をつける「目荒し」と呼ばれる工程を実施し、新しく塗装する塗料の密着度を向上させられます。
ガルバリウム鋼板のような金属製の屋根材は、表面に塗料が密着しにくいため目荒らしで表面をざらつかせ、吸着力を高めることが重要です。
錆や汚れが残っていると塗装した後に塗料が剥がれてしまうので、ケレン作業は必ず行ってもらいましょう。
下地処理が終わったら塗料を塗る前に下塗り材を塗ります。
下塗り材には塗料の吸着力を高める効果や、塗膜を長持ちさせる効果があります。
まれに下塗り材を塗る工程を抜かす業者がいるため、見積書に下地処理や下塗り材が入っているか確認しましょう。
なおガルバリウム鋼板の塗装は難しいため、知識と経験が少ない業者に依頼してしまうときちんと塗装してもらえない場合があります。
せっかく高性能で多機能の塗料を塗装しても経験不足・技術力不足の業者が塗装してしまうと、数年で剥がれてくる可能性があります。
そのため、ガルバリウム鋼板の塗装は知識と経験のある業者に依頼しましょう。
ガルバリウム鋼板は塗料が付着しにくいためプロでも塗装が難しいといわれています。
つるつるした表面に塗料が付着するよう、適切な下地処理を行う必要があります。
また塗膜を適切な厚さで塗れないと、性能を十分に発揮できません。
費用を抑えるためにDIYを検討する方もいますが、うまく塗装できないと改めて業者に依頼し直さなければなりません。
かえって費用が高くついてしまうでしょう。
屋根や外壁といった高所での作業は、素人が行うとケガをする可能性があります。
無理をせず、塗装は業者への依頼を検討してください。
ガルバリウム鋼板とは、アルミニウム・亜鉛・シリコンから作られるアルミ亜鉛合金めっき鋼板のことを指します。
デザイン・色・種類が豊富で、次のようなメリット・デメリットがあります。
ガルバリウム鋼板のメリットは次のような点です。
・耐久性が高い
・錆びにくい
・薄くて軽い
アルミニウムと亜鉛でめっきしているため、耐久性が高くなります。
新築住宅・リフォームでも使用されるケースが増えてきました。
軽いため、耐震性の点からも屋根材に向いている素材です。
他の屋根材に比べると安価な点もメリットの一つです。
ガルバリウム鋼板のデメリットは次のような点です。
・表面がつるつるしていて塗装しにくい
・金属のため、屋根にすると室内温度が高くなる
・防音性が低い
・傷がつきやすい
表面がつるつるしているため、専門知識と技術力がある業者でなければ塗装が難しい素材です。
防音性が低く、傷がつきやすくなっています。
断熱材を張りつけた「断熱材一体型」のガルバリウム鋼板なら、断熱性・遮音性が改善されているため、検討してもよいでしょう。
塗料の性能によってはデメリットをカバーできるケースもあります。
塗装以外にガルバリウム鋼板を補修する方法は以下のとおりです。
・カバー工法
・葺き替え
・部分補修
塗装以外にどのような補修方法があるのか、それぞれどういった場合に行うべきか解説します。
カバー工法は既存の屋根材を取り除かず、上から新しい素材を重ねる施工方法です。
既存の屋根材の撤去や処分費用がかからないため、施工費用を抑えられます。
既存の外壁を剥がしたり下地そのものを張り直したりする必要がないため、施工に必要な日数も短くなります。
ただし上から屋根材を取り付けるカバー工法の場合、屋根全体の重量が増えるため建物の耐震性が下がるのがデメリットです。
なお屋根の内部が劣化している場合は、既存の屋根を取り除いて新しい屋根材を取り付ける葺き替え（ふきかえ）が必要です。
葺き替えは既存の屋根材を撤去し、新しい屋根材に張り替える方法です。
屋根の内部まで劣化し、既存の屋根の劣化が激しい場合に使われる方法です。
葺き替えは劣化した屋根を全て剥がすため内部の劣化を見つけられ、一から補修できるのがメリットです。
ただ既存の屋根材の撤去や処分費用がかかる分、カバー工法に比べると費用が高くなり施工日程も長くなります。
部分補修は、屋根の不具合や劣化症状がある箇所のみを補修する方法です。
ひび割れが発生している箇所へのシーリング材の充てんや、錆が発生している部分へのサビ止め処理などを行います。
部分補修だけの場合は施工費用を安く抑えられ、施工も短期間で終わるのがメリットです。
ただ補修した箇所は改善されても、他の部分が劣化したときに再度メンテナンスを行わなければならず、結果として費用がかさんでしまいます。
また部分補修の場合は補修した箇所が目立ちやすく、美観を損ねてしまいます。
部分補修はできるだけコストを抑えたい方や、将来引っ越しをする予定がある方におすすめです。
ガルバリウム鋼板に行うメンテナンス方法としてはどのようなものがあるのか紹介します。
・定期的に水をかける
・表面の傷に気付いたら早めに修理をする
・定期的に点検を行う
ガルバリウム鋼板を長持ちさせるメンテナンス方法をお伝えしますので、長くきれいな状態を維持したいという方は参考にしてみてください。
ガルバリウム鋼板のメンテナンスには、定期的に屋根の表面に水をかけるのがおすすめです。
海岸沿いや酸性雨が降る地域は1～3ヶ月に一度、その他の地域は年に1回ほど屋根に水をかけると美観を保てます。
屋根に水をかける場合は洗車のときと同じくらいの量の水をかけ、やわらかい布やスポンジで汚れを洗い流しましょう。
このとき高圧洗浄機を使ってしまうと、ガルバリウム鋼板がへこんだり漏水したりする恐れがあるため、使用しないよう注意してください。
また、作業する際は屋根から転落しないよう十分注意しましょう。
ガルバリウム鋼板の表面に傷が付いているのも見つけたら、できるだけ早く専門業者に修理を依頼しましょう。
飛来物などが屋根にぶつかって傷が入ってしまうと、塗膜が剥がれたところから錆が発生してしまいます。
早急に対処し、屋根の表面に付いた傷から錆が広がるのを防ぐことで、塗装の下の鋼板まで劣化するのを避けられます。
特に突風が吹く台風の後は注意し、台風が去った後に屋根の状態をチェックしてみてください。
また屋根の傷は自分で見つけるのは難しいため、専門業者に点検を依頼するのがおすすめです。
ガルバリウム鋼板を設置している家では、定期的に点検を受けておくのがおすすめです。
屋根の頂部に被せられている棟板金と呼ばれる金属部材は、時間が経つと釘がゆるみ、強風で浮いたり剥がれたりする場合があります。
またシーリングの欠損やヒビ割れなどがあると、雨水が棟板金の下地へと浸入してしまいます。
そのため、棟板金の継ぎ目に充てんされているシーリングの劣化も確認しておきましょう。
10年に一度は点検を受けておき、早めに修理しておくことで屋根の耐久性を維持できます。
ガルバリウム鋼板の塗装は実績のある会社に依頼しよう
ガルバリウム鋼板の塗装はプロでも難しいといわれるため、実績のある会社を選ぶと安心です。
専門知識と経験がないと、性能の高い塗料を塗っても数年で剥がれてしまいます。
ガルバリウム鋼板に合わせた下地処理を行い、適切な塗料を選ぶ必要があります。
十分な知識と経験がないと、誤った施工をされて不具合が出る可能性もあるでしょう。
ホームページなどに載っている施工実績を確認してください。
再塗装の場合も、ガルバリウム鋼板の状態に合わせた補修・塗装をしてもらえます。
再塗装が必要かどうかの判断が難しい場合は、まずは業者に点検してもらえないか相談してみましょう。
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