屋根塗装を検討している方にとって、耐用年数の長さは気になる点でしょう。
できるだけ費用を抑えたい、塗り替えの回数を減らしたいなど、求めるものによって塗料の選び方が異なります。
本記事では屋根塗装に使用する塗料の耐用年数や特徴、選び方について解説します。
屋根材の耐用年数についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
屋根塗装の耐用年数は塗料によって異なります。
主な塗料には次のようなものがあります。
・アクリル塗料
・ウレタン塗料
・シリコン塗料
・フッ素塗料
・無機塗料
・光触媒塗料
それぞれの特徴や耐用年数を紹介します。
ちなみに同じ塗料を使用しても、外壁に比べて屋根の塗装は耐用年数が短くなる場合があります。
屋根の方が紫外線や雨風にさらされるため、劣化しやすいためです。
屋根に使用する場合、アクリル塗料の耐用年数は5～8年です。
耐用年数が短く汚れやすいデメリットがあるものの、単価が安いというメリットもあります。
アクリル塗料を選ぶ際は、短期間で塗り直しが必要になる点を忘れないようにしましょう。
屋根に使用する場合、ウレタン塗料の耐用年数は3～10年です。
密着性・防汚性が高く、施工がしやすいという特徴があります。
耐用年数は短いため、長期的な使用には向かない点に注意してください。
屋根に使用する場合、シリコン塗料の耐用年数は5～13年です。
汚れの付着や色落ちが少なく安定しています。
色が豊富で、費用もそこまで高くありません。
防汚性をもつシリコン塗料も開発されています。
同じシリコン樹脂系塗料でも、メーカーによって耐用年数や機能が異なるため、目的にあったものを選ぶ必要があります。
屋根に使用する場合、フッ素塗料の耐用年数は7～20年です。
耐用年数が長く、耐熱性・耐候性・不燃性・防汚性が高く機能的ですが、その分価格が高くなります。
また、塗膜が硬いためヒビ割れしやすい点にも注意しましょう。
無機塗料の耐用年数は10～20年です。
無機塗料は長期間美しい状態を保てる塗料です。
傷や汚れがつきにくく、燃えにくいといった特徴もあります。
しかし、塗膜が硬いためヒビ割れしやすい点がデメリットです。
価格は高いですが、複数回の塗り替えを考慮するとランニングコストは安くなる可能性があります。
屋根に使用する場合、光触媒塗料の耐用年数は15～20年です。
セルフメンテナンス効果がある塗料で、紫外線を浴びると汚れを分解する機能があります。
空気清浄機能もあり地球に優しい素材としても注目されています。
機能性は高いですが価格も高めです。
塗料と同様、屋根材そのものにも耐用年数があります。
新築の屋根に初めて塗り替えを行う場合、目安となるのが屋根材の種類です。
・スレート
・ガルバリウム鋼板
・セメント瓦
主な屋根材ごとに耐用年数の目安を解説します。
スレートは軽量で施工しやすい屋根材です。
建物への負担が少なく、耐震性の向上も期待できる素材でもあります。
一方で耐久性・防水性は劣ります。
初めて塗り替えを行うのは5～15年が目安です。
ガルバリウム鋼板は防水性・加工性などに優れています。
軽量で耐震性が高く、見た目の美しさもメリットのひとつです。
一方で、断熱性・防音性は劣ります。
初めて塗り替えを行うのは10～25年が目安です。
セメント瓦は均一性に優れ、一定した並びになります。
塗料で着色するため色の選択肢が広く、軽量で災害に強い点もメリットです。
しかし、紫外線・風雨・温度変化で塗膜の劣化が剥げてくると、素材のセメントの劣化も早まります。
割れやすい点もデメリットといえるでしょう。
初めて塗り替えを行うのは5～20年が目安です。
屋根塗装の耐用年数を過ぎると、以下のような劣化症状が見られます。
・色あせ
・コケ、カビ
・塗膜の剥がれ
・錆
・ヒビ、割れ
・変形、反り
放置すると、屋根材の劣化が進み雨漏りなどにつながる危険があります。
色あせは、屋根の色が薄くなったりくすんだような変色したりした状態を指します。
塗膜の劣化が始まった証拠で、塗装を施したすべての屋根で起こります。
すぐに塗り直さなくてはならないわけではありませんが、劣化は進んでいくため注意が必要です。
耐久性・防水性が低下し、コケ・カビなどが発生しやすくなります。
塗膜が劣化し、防水機能が低下すると水はけが悪くなり、コケ・カビが繁殖しやすくなります。
屋根に発生したコケ・カビは見た目が悪くなるほか、屋根材を劣化させる恐れもあるため早めに除去しましょう。
粘土瓦やアスファルトシングルといった屋根材で発生しやすいといわれます。
高圧洗浄で落としきれない場合は、塗装を検討してください。
屋根の塗装が剥がれた状態を、塗膜の剥がれと呼びます。
経年劣化のほか、施工不良でも発生するケースがあります。
塗装を施した屋根すべてで起こりうる症状です。
塗膜が剥がれると、屋根材が劣化し補修する必要が出てきます。
屋根材が金属の場合は錆にもつながるため、早めの塗装がおすすめです。
錆は、屋根材の一部もしくは全体が腐食した状態を指します。
トタン・ガルバリウム鋼板といった金属の屋根材でのみ発生する症状です。
錆は進行すると穴があいてしまうため、早めに処置を行いましょう。
塗膜が劣化したり、コケ・カビが生えたりした屋根材には、水分が浸透しやすくなります。
結果、屋根材に亀裂が入り、ヒビや割れが生じる可能性があります。
軽度であれば、補修したあと塗り直しが可能です。
しかし、症状が進むと塗り直しができない場合もあるため注意しましょう。
塗膜が劣化すると屋根材に水分が浸透しやすくなり、水分の浸透・乾燥を繰り返した結果、屋根材が反る場合があります。
自然に直るものではないため、放置すると反りはどんどん大きくなるでしょう。
軽度のうちなら、塗装で防水性を取り戻せば劣化を抑えられるケースもあります。
耐用年数を意識して屋根塗装用の塗料を選ぶ場合、ポイントと注意点を解説します。
塗装後に後悔しないよう、詳しく見てみましょう。
塗料を選ぶポイントは「耐用年数が短くても安い塗料を選ぶのか」「高くても耐用年数が長い塗料を選ぶのか」の2つです。
はじめから短い間隔で塗り直すつもりで、耐用年数が短い塗料を選ぶという考え方もあります。
売却や引っ越しの予定があり今の家にはあと10年程度しか住まない場合、耐用年数が10年ほどの塗料を選べば十分でしょう。
長期間暮らす場合は、耐用年数が長い塗料を使った方が塗り替えの回数を減らせるため安くなります。
塗り替えには足場代などの諸費用もかかるため、回数が増えるほどトータルコストが高くなるからです。
耐用年数が長い塗料を選んでも、基準を守らなければ効果を発揮できません。
塗料には、それぞれ塗布量やインターバルといった基準が定められています。
基準を守って施工してくれる業者への依頼も重要です。
使用する塗料の量が少なくないか、見積もりを見ると確認できます。
見積書に、以下の内容が記載されているか確認してください。
・塗料メーカー、商品名
・塗装面積と算出単位
・塗料の缶数
記載がない場合は事前に確認しましょう。
費用が安すぎる業者は塗料を薄く塗ったり、グレードの低い塗料を使ったりする可能性があるため注意が必要です。
屋根塗装の費用を抑える方法として、2つ紹介します。
・外壁塗装と同じタイミングで行う
・繁忙期を避ける
ポイントを解説します。
屋根塗装は高所での作業になるため、足場を組む必要があります。
足場代は必要ですが、安いものではありません。
外壁塗装を検討している場合、同じタイミングで行うと足場代など一部の費用が節約できます。
次の塗り替えも同じタイミングで行いたい場合、塗料の耐用年数に注意してください。
外壁で使用するより、屋根で使用する方が耐用年数は短くなることを考慮して塗料を選ぶ必要があります。
屋根塗装を行う業者にも繁忙期があります。
繁忙期は工事価格が高くなりやすいため、避けて依頼すると費用を抑えられるでしょう。
一般的に繁忙期は春、夏～秋といわれています。
春は気温や湿度が安定しており、比較的塗装工事に向いているため人気があります。
梅雨と冬は閑散期にあたるため、料金が安くなる時期です。
塗装の目的によっては、特定の条件をクリアすることで自治体から補助金や助成金を申請できることがあります。
たとえば岡山市への転入を目的とした中古住宅の塗装に使えるのが、移住者・二拠点居住者向け中古住宅リフォーム補助制度です。
またおかやまの木で家づくり支援事業では、県産の乾燥材や森林認証材を活用した住宅改修に補助金を交付しています。
制度の条件に合致する塗装を行う予定であれば、工事費用をお得にできるかもしれません。
ただし申請には細かい条件や定員が設けられているので、詳細は役場の窓口や塗装業者に相談してみるのがおすすめです。
下記の時季によって、塗装を行うメリットとデメリットが異なります。
・春
・夏
・秋
・冬
以下では、それぞれの季節に応じた塗装の行いやすさを解説します。
今後塗装を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
春は天候が安定しており、屋根塗装を行うのに適したタイミングです。
一般的に温暖な気候で湿度も比較的低く、塗料が乾きやすい傾向にあります。
さらに植物の成長が始まる時期なので、長く生い茂った雑草が塗装に支障をきたす心配もほぼありません。
ただし春は塗装業者の繁忙期なので、予約の混雑や価格競争の激化が起きやすくなりがちです。
また梅雨に差し掛かると湿度が高まり、悪天候が増えるため作業効率が悪くなります。
気象条件によっては5月ごろから梅雨入りすることもあり、雨が降りそうな日を避けて慎重に施工日を決める必要があります。
一方梅雨は塗装業者の閑散期でもあるので、予約が取りやすくなったり料金が安くなったりするのが利点です。
夏は日中の時間が長く、塗装が効率的に進みやすい時期です。
業者によっては通常よりも1時間程度作業時間を長くするケースがあり、塗装期間を短縮できる可能性があります。
また気温が高いため塗料が迅速に乾きやすく、乾燥不足による色むらやひび割れが生じるリスクも少なめです。
ただし春と同様に夏も繁忙期であり、業者によっては単価が高くなったり予約が取りにくくなったりする傾向があります。
そのため、予算とスケジュールに余裕を持って塗装を計画することが大切です。
秋は総じて天候が安定しており塗料が乾きやすく、塗装に向いているといえます。
からりと乾燥した快晴の日が多く、作業員も快適に塗装を進めやすい時期です。
しかし9月ごろは、台風が多い時期でもあります。
台風が接近すると塗装作業を続けられなくなるため、進捗が大幅に遅れ非効率です。
また、強風による外壁の破損や大雨による雨漏りが生じるリスクもあります。
台風の影響を避けるためにも、工事計画の調整や予防策の検討が必要です。
冬は屋根塗装にはやや不向きな季節ですが、晴天になりやすい地域では工事がスムーズに進みやすい傾向があります。
また塗装を予約する人が比較的少なくなるので、希望する日時に工事を行いやすいです。
ただし北海道や東北地方など積雪・寒気の影響が多い地域では、工事が予定通りに進まなくなるリスクがあります。
場合によっては塗料の凍結により作業に制限がかかることもあるので、冬季の塗装工事には慎重な計画が必要です。
塗装業者を選ぶ際は、価格だけでなく信頼できるかどうかを確認することが大切です。
塗装業者のホームページに掲載されている施工事例は、納得のいく塗装を目指すうえでよい判断材料となります。
自宅と同じ種類の屋根材の塗装事例や使いたい塗料を用いての実績があるかは、自分に合う業者を選ぶ際のチェックポイントです。
また施工実績の豊富さも、業者の信頼性や技術力を判断するうえで役立ちます。
塗装やさん（運営：植田板金店）は3,000棟以上の年間施工実績を持ち、中国・四国地方にてNo.1の実績を誇る塗装業者です。
塗装では補修しきれない屋根におすすめのメンテナンス方法
劣化がひどく塗装だけではメンテナンスしきれない屋根には、下記の補修がおすすめです。
・カバー工法
・葺き替え
以下では、それぞれの方法を具体的に確認していきましょう。
カバー工法とは古い屋根材をそのままの状態にし、上から新たな屋根材を設置する方法です。
既存の構造物を利用し続けるため、解体・撤去の必要がなくコストと工数を効率的に削減できます。
カバー工法には軽量で耐久性に優れた金属屋根が用いられるのが一般的で、耐用年数は20〜30年程度です。
屋根塗装の耐用年数は5〜15年程度とされていますが、メンテナンス時期を先延ばしにしたい方にカバー工法は適しています。
ただしこの方法では新たな屋根材分の重量がかかるため、建物自体に負担がかかりがちです。
また屋根材の下に湿気がたまりやすくなる点も、カバー工法のデメリットです。
葺き替えは既存の屋根材を解体し、新たな屋根材を設置する方法です。
防水シートや野地板などの下地材に異常がないかどうかを点検し、必要があれば補修・補強も行います。
状況によっては屋根材と下地材を一新することとなるので、新築のような美観と品質を目指したい方におすすめです。
さらに葺き替えは新たに重量が加わらないので、重い瓦屋根にも適用できます。
耐用年数は20〜40年程度とされており、建物の耐久性を重視した方法といえます。
一方、葺き替えでは古い屋根材などの撤去費用がかかり工事費用が高額になりがちです。
特にアスベスト入りの屋根材を解体する場合、通常よりも高額な撤去費用がかかります。
個人所有の住宅やアパート経営者は、所有する建物の屋根改修を行う際に費用を修繕費か資本的支出に計上する必要があります。
それぞれの項目に振り分けられる工事の条件は、下記のとおりです。
・修繕費：修繕や現状維持を目的としている
・資本的支出：資産価値を上げることを目的としている
資本的支出に区分されると、工事費用は建物の耐用年数に応じて減価償却される必要があります。
減価償却とは「資産は時間とともに価値が下がっていく」という考え方により、会計年度単位で経費を分割する方法です。
構造・用途に応じて定められた建物の法定耐用年数は、国税庁のホームページから確認できます。
減価償却の計上方法を具体的に知りたい場合、最寄りの税務署や税理士などに相談するとよいでしょう。
屋根塗装の耐用年数についてよく挙がる疑問は、下記のとおりです。
・スレート屋根の塗装は自分でできる？
・屋根塗装は意味がないって本当？
・塗装よりもカバー工法を選んだ方がよいのはどんな場合？
以下では、それぞれの疑問を具体的に解説します。
スレート屋根の塗装を自分で行うのは基本的におすすめできません。
屋根上での作業は、転落や物損のリスクを伴い危険です。
工具が落下した場合、自分の所有物に限らず第三者にも被害が及ぶ可能性があります。
また塗料の選択や下地処理、塗装には正確な作業や技術力が求められるため、素人が行うとミスを犯しかねません。
屋根塗装の失敗は美観や耐久性に悪影響を及ぼし、修理や再塗装の必要性が生じることもあります。
安全性や品質を確保するためには、塗装業者への依頼を検討することが大切です。
屋根塗装の必要性は、屋根材の状態によって異なります。
屋根が新しく劣化のない状態であれば、塗装の必要性は低いです。
塗装だけでは補修しきれないほどの劣化がある場合も、塗装工事を行う意味はないといえます。
ただし定期的なメンテナンスとして塗装を行うことは、屋根材のダメージを最小限にするうえで重要です。
数年ごとに点検を行い必要に応じて塗装を行えば、建物自体の寿命も長持ちさせられます。
塗装よりもカバー工法を選んだ方がよいのはどんな場合？
雨漏りがある場合、塗装よりもカバー工法が適しています。
雨漏りの一般的な原因は防水シートの劣化です。
この場合、塗装しても雨漏りを防ぎ切ることはできません。
カバー工法で新しい屋根材を被せれば雨漏りを防げます。
葺き替えと異なり古い屋根材の解体が不要なので、効率的にコストを抑えたい方におすすめです。
ただし下地材の劣化がひどく屋根全体の刷新が必要な場合、カバー工法ではなく葺き替えが適しています。
屋根塗装は塗料の選び方も大切ですが、専門知識のある業者への依頼も重要です。
業者によっては、塗料の耐用年数より早く塗膜が剥がれる可能性もあります。
事前に屋根の状態を診断してもらうと、塗り替え以外に必要な修復がわかるほか、最適な塗料を選んでもらえます。
ホームページなどに記載されている施工事例を見て、屋根塗装の経験があるか確認しましょう。
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