サイディングは住宅の外壁に多く使用されている壁材で、お手頃価格で比較的工期を短くできるのがメリットです。
サイディングにはいくつか種類があり、それぞれ特徴も異なります。
「自宅の外壁にサイディングを使いたいけれど、どれを選べば良いのだろう？」とお悩みの方もいるかもしれません。
本記事では、住宅の外壁に使用されるサイディングの種類と特徴、選び方のポイントを解説します。
自宅の外壁メンテナンスやリフォームなどを検討中の方は、ぜひ最後までお読みください。
サイディングは「サイディングボード」とも呼ばれ、住宅などの外壁に使用されるパネル状の壁材です。
壁の大きさに合わせてボードをカットして張り付け、継ぎ目を埋め合わせて仕上げます。
工場で大量生産されるため、モルタル（塗り壁）と比較して工期が短くなりやすく、価格がお手頃なのが特徴です。
一方で傷やへこみなどのダメージには弱く、工場で画一的に生産される製品のためモルタルと比較すると意匠性は低くなるデメリットがあります。
ただし工期や価格面では大きなメリットがあるため、外壁デザインに特別なこだわりがない場合、サイディングはおすすめできる選択肢の1つです。
外壁に使われるサイディングの種類とメンテナンス周期
一般的な住宅の外壁に使用されるサイディングは、以下の4種類です。
・窯業系サイディング
・金属系サイディング
・木質系サイディング
・樹脂系サイディング
それぞれの特徴やメリット・デメリット、メンテナンスが必要になる周期について解説します。
主原料となるセメントと繊維質を高温で焼成したサイディングで、読み方は「ようぎょうけい」といいます。
デザインや色のバリエーションが豊富で、自分の好みに合った製品を見つけやすいのが魅力です。
セメントを材料にしているため衝撃に強くて耐震性が高く、高温で焼き上げているため火が燃え移りにくくなっており、耐火性・防火性にも優れています。
メンテナンス周期は7〜10年と一般的な長さではあるものの、ほかのサイディングと比較して初期費用を抑えられるためコストパフォーマンスが高いのも特徴です。
住宅に使用されている外壁材のうち78.4%のシェアを占めており、サイディングのなかで最も人気があります。
外壁材選びで失敗したくない人におすすめのサイディングです。
ウレタンなどを芯材として、アルミやステンレス鋼板、ガルバリウム鋼板などの金属を使用したサイディングです。
メンテナンス周期は10～15年程度とされていて、金属系サイディングは、窯業系サイディングの次に多くのシェアを占めています。
メタリックな外観が特徴的で、スタイリッシュなデザインの住宅などにぴったりでしょう。
窯業系サイディングの4分の1ほどの重さで軽いため建物に負担をかけにくく、耐震性向上につながるのもメリットです。
軽さを利用して、既存の外壁の上から重ねて張る「重ね張りリフォーム」にも使用されます。
断熱性に優れているため省エネ効果があり、防音性が高いのも特徴です。
寒暖差による外壁の劣化である「凍害」が起こりにくいため、寒冷地での使用にも適しています。
木材の表面に塗装・加工を施したサイディングです。
木質系サイディングの材料になるのは、天然の丸太から切り出した無垢の木材で、合板や集成材などは使用されません。
ほかのサイディングに比べると価格は高めですが、木の温もりを感じたり、経年変化を楽しめたりするのが特徴です。
断熱性に優れるメリットはあるものの、木材のため吸水性も高く、こまめなメンテナンスも必要になります。
一般的なメンテナンス期間は10年ほどと長めです。
しかし、雨水の浸入による腐食や経年劣化の進行度合いによっては期間が短くなる可能性もあります。
表面を焼いた焼板と呼ばれるタイプなら、塗装がなくても炭化層が保護してくれて腐食しにくくなるため、選んでみるのも良いでしょう。
防火面ではほかのサイディング材に劣るものの、準耐火構造にも対応可能です。
ただし消防法により、防火上の不備があると認められた場合は使用できないケースもあります。
プラスチックの1つである塩化ビニルを原料に作られたサイディングです。
日本よりもアメリカやカナダなど、海外で高いシェアを誇ります。
薄くて軽く強度も高いという特徴があり、日本でも次第に注目が集まっている壁材です。
軽量で重ね張りに使えるため、リフォームにも適しています。
メンテナンス期間は10〜20年と長めで、シーリング材を使わないため、シーリングに関するメンテナンスは不要です。
樹脂素材は水分をはじく性質をもっているため、雨や湿気によって劣化しにくくなっています。
サビや寒暖差による傷みも起こりにくいため塩害・凍害に強く、海から近い地域や寒冷地でも安心して使用できるでしょう。
外壁材に色を塗り込んでいるため、時間とともに色褪せたり変色したりする恐れがなく、いつまでも美しい外観をキープできます。
ただし日本ではまだ普及率が低いため選べる色やデザイン、施工できる業者などが少なくなっているのがデメリットです。
外壁にはサイディング以外にも使用できるものがあります。
サイディング以外に使用される外壁についても紹介します。
・モルタル
・塗り壁
・タイル
これらの外壁の特徴を紹介していきます。
サイディング外壁を使用する際の参考として知っておくと選択の幅が広がります。
モルタルとはセメント、石灰、砂を混ぜて水で溶かしたものです。
石やブロックの接着に使用される建築材料です。
吹き付けたり塗ったりして使用します。
比較的安価に入手できる素材ですが、主原料がセメントなので高い強度と耐久性を持っています。
その反面、手作業での施工が多いので施工時間がかかってしまうのがデメリットです。
塗り壁とは外壁に直接塗料や壁材になる素材を塗り重ねて仕上げていく工法です。
塗り壁に使用される素材には漆喰や土などがあります。
色や質感や模様など、さまざまな質感や色合いを出せる工法です。
特に漆喰は日本家屋に古くから使われている素材で、歴史的建造物にも多く用いられています。
デザイン性の自由度が高く、自然な風合いが楽しめるのがメリットです。
しかし、ひび割れが発生しやすく施工に時間がかかるのがデメリットです。
外壁にタイルを張るという方法もあります。
タイルとは土や石などの自然素材を高温で焼き固めて、形成したものです。
タイルの外壁は丈夫で汚れが付着しにくいので、メンテナンスの頻度を著しく減らせます。
メンテナンス回数を減らせれば、将来的にかかるコストも減らせます。
ただしイニシャルコストは高くなってしまうので、タイルを張るときは資金計画を立てておきましょう。
4種類の特徴を踏まえて、自宅の外壁に使用するサイディングの種類を決める方法を紹介します。
サイディング選びのポイントは次のとおりです。
・豊富な色、デザインから選ぶなら窯業系サイディング
・メンテナンスに手間をかけたくないなら樹脂系サイディング
・自然な温もりや質感にこだわりたいなら木質系サイディング
・重ね張りするなら金属系サイディング
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
色やデザインのバリエーションを重視するなら窯業系サイディングがおすすめです。
窯業系はサイディングのなかでも最も多く使われているタイプのため、種類も非常に豊富となっています。
タイルや木目、モルタル調など、さまざまな製品があり、気に入ったものが見つかりやすいでしょう。
メンテナンスに手間をかけたくないなら樹脂系サイディング
樹脂系サイディングは、メンテナンス期間が最長20年とほかのサイディングよりも長持ちします。
樹脂系には、サイディングのデメリットであるシーリングの劣化がないためです。
外壁のメンテナンスにあまり費用をかけたくない場合は、樹脂系サイディングを選択すると良いでしょう。
自然な温もりや質感にこだわりたいなら木質系サイディング
木の温かさや質感など、外観の細かい部分までこだわった住宅に仕上げたい人には木質系サイディングがおすすめです。
サイディングのなかでは比較的高級ではあるものの、天然木がもつ温もりはほかの壁材ではなかなか再現しにくくなっています。
既存のモルタルやサイディングなどの外壁の上から下地材を取り付け、新しいサイディングを張るやり方を「重ね張り」といいます。
外壁リフォームでよく使われるサイディング工事方法の1つです。
張り替えよりも工事費用を抑えられるのがメリットです。
ただし既存の外壁材を残すため、新しいサイディングには軽量な製品を選ぶ必要があります。
リフォームで重ね張りを行う場合は、ガルバリウム鋼板など軽量な金属系サイディングを選択するのが最適です。
種類を問わず外壁サイディングをメンテナンスする方法
外壁サイディングは定期的にメンテナンスすることで、きれいな状態が維持できて長持ちします。
外壁サイディングのメンテナンス方法を紹介していきます。
・塗装
・張り替え
・重ね張り
これらの方法でメンテナンスを行い、外壁を長持ちさせましょう。
塗装はサイディングの表面に塗料を塗ってメンテナンスする方法です。
新しい外壁も数年経過すると、劣化が始まります。
汚れが付着したり、カビやコケが生えたりと見た目が悪くなっていきます。
そこで古くなってしまった外壁を、新しい外壁のようにきれいにする方法が外壁塗装です。
塗料の種類にもよりますが、数年〜十数年は塗り替えが不要になります。
選ぶ塗料の色によって、現在の外壁から雰囲気を変えられるメリットがあります。
また、塗料には遮熱塗料などの付加価値がついた塗料もありますので、業者と相談して最適な塗料を選びましょう。
張り替えは古いサイディングをはがして、新しいサイディングを張っていく方法です。
既存のサイディングを丁寧に剥がしていきます。
剥がした後に既存の下地にサイディングを固定しやすいように補修していきます。
最後に外壁を張って完成です。
張り替えは既存の外壁を剥がす作業と、取り付ける作業が必要なので工期が長くかかってしまう工法です。
またその他の工法に比べて費用もかかります。
その分下地や屋根材の劣化問題を解決でき、外壁全体の雰囲気も大きく変わるので仕上がりが楽しみになります。
重ね張りは既存の古いサイディングの上に、新しいサイディングを張っていく方法です。
既存の外壁を取り外す必要がないので、張り替えに比べれば工期が短く、費用も安価で終えられます。
廃材も少なくなるので、環境にもやさしい施工方法でもあります。
しかし、すべてのサイディングで重ね張りができるわけではないので注意が必要です。
既存の外壁に重ね張りするということは、建物全体が重くなってしまいます。
建物の強度にも関わりますので、重ね張りができるかどうかは業者と相談してみましょう。
サイディングを外壁に施工する手順について解説していきます。
このほかにも細かな工程は必要ですが、大まかな流れを見ていきましょう。
・下地処理
・外装材を張る
・シーリングを打つ
サイディングを施工するときは上記のような流れで行います。
それぞれの工程について詳しく見ていきましょう。
まずは既存の外壁の下地処理をします。
下地が傷んでいると外壁を固定できません。
張り替えの場合には、既存の外壁を取り外した後に下地を補修します。
重ね張りの場合は、既存の外壁の上から施工していくので、傷んでいる箇所を補修していきます。
補修が終わったら、汚れやカビやコケをきれいに落とす作業が必要です。
重ね張りや塗装の際には、既存の外壁をきれいにして新しい外壁や塗装を施工しやすくしていきます。
下地処理が終わったら、次は外装材を張る作業です。
現地で外装材を最適なサイズにカットして、下地へ固定していきます。
釘やビス、接着剤を適切な材料を用いて丁寧に作業を進めていきます。
工程の中で一番時間と労力のかかる作業です。
サイディングは重いので、足場を組んで工事を行います。
平屋でも足場は必要です。
外装材を張ったら最後にシーリングを打ちます。
シーリングは外壁と外壁の間に入り込むゴム状の素材です。
外壁と外壁の間から雨水が入り込むと雨漏りしてしまいます。
雨漏りすると、建物の柱や梁などに水がしみ込んでしまい、建築躯体の劣化につながります。
シーリングは特に定期的なメンテナンスを行い、雨漏りしないように注意を払いましょう。
種類に関係なく外壁サイディングのリフォームを任せる業者を選ぶ方法
外壁サイディングのリフォームは高価な工事です。
リフォームを依頼する業者は慎重に選びましょう。
業者を選ぶ際のポイントについて解説していきます。
・口コミや評判の良い会社
・地域密着の会社
・建設業許可を持っている会社
これらのポイントを確認しながら、信頼できる業者を探しましょう。
業者に仕事を依頼する時には、業者の口コミや評判を確認しましょう。
現在はインターネット上で業者の口コミや評判が確認できます。
良い業者は評価も高く、口コミも良いコメントが書かれているものです。
評判の良い会社に頼んだ方が施工を依頼した時も失敗する可能性が少なくなります。
業者の良し悪しは施工の仕上がりに関わってくるので、評判の良い業者を探して工事の依頼をしましょう。
業者には対応できるエリアがあります。
現地に訪問して塗装工事をするので、どこでも対応できるわけではありません。
なるべく自宅に近い、地域密着の会社に施工をお願いしましょう。
地域に密着して工事をしている会社は対応が速いです。
業者に依頼をする時には対応エリアを確認しておきましょう。
また、地域密着の業者はその地域特有の気候や建物の構造を熟知しています。
海に近いエリアは塩害対策が必要など、エリアによって異なる特徴があります。
地元を熟知している信頼できる業者を探して工事を依頼しましょう。
塗装業は建設業の許可がなくてもできます。
500万円未満の塗装工事であれば、業者は建設業の許可を取得していなくても工事が可能だからです。
しかし、建設業の許可を持っている方が業者の信頼性が高いのは間違いないです。
また、500万円以上の塗装工事をしているという大きな工事を請け負えている証明にもなります。
建設業の許可を持っているかどうかは絶対的な基準ではないですが、業者の良し悪しを判断できる基準になるので参考にしてください。
外壁サイディングの寿命を延ばすなら種類を問わず定期的な塗装がおすすめ
樹脂系サイディングを除き、外壁サイディングの寿命を延ばすなら定期的に塗装してメンテナンスするのがおすすめです。
サイディングの塗装を行うと、綺麗な外観を維持できるだけでなく、色褪せや塗膜の剥がれなど、軽微な不具合であれば交換工事をしなくてもカバーできます。
塗装だけで直せない不具合があった場合は、外壁の補修工事が必要です。
サイディングの修理方法には部分修理、カバー工法（重ね張り）、張り替えの3種類があります。
工事を検討する際は、どの方法が適しているかについて専門業者に相談してみましょう。
サイディングのメンテナンスや張り替えは専門業者に相談しよう
