住宅を建ててから月日が経過すると外壁塗装の痛みや劣化などが気になる方もいるのではないでしょうか。
「家の外壁は10年で塗り替えをしないといけない」といった話もありますが、実際にメンテナンスとなるタイミングの見極めは知識がないとなかなか難しいものです。
本記事では、住宅の外壁塗装を行うべき時期やタイミングについて解説します。
塗料ごとの耐用年数の違いや塗装が劣化しているサインについてもあわせて解説しているので、ぜひ最後までご一読ください。
住宅の外壁は、家を建ててから一定の時間が経過すると、メンテナンスとして塗装作業が必要になります。
外壁塗装を考える時期としてベストなタイミングは以下の通りです。
・塗料の耐用年数が近づいたタイミング
・外壁の劣化サインがみられたタイミング
上記のようなサインが見られた場合、総合的に判断して外壁塗装を行うべきかどうかを検討しましょう。
それぞれのタイミングについて詳しくみていきましょう。
外壁に使用されている塗料の耐用年数が迫ってきている場合、塗装の塗り替えを検討する必要があります。
塗料の耐用年数とは、通常の使用法において、メーカーまたは施工業者が品質を保証できる期間です。
外壁塗装が必要な時期は塗料の種類によって異なり、一般的な年数は以下の通りです。
・ウレタン塗料：5〜10年
・シリコン塗料：7〜15年
・フッ素塗料：12〜20年
・無機塗料：18〜20年
ウレタン塗料などは価格が比較的安いものの、メンテナンス期間は短くなる傾向にあります。
シリコン塗料は、ウレタン塗料より費用が高い代わりに長持ちです。
フッ素塗料や無機塗料になるとメンテナンス期間が長ければ20年持ちますが、価格も高額になるため、費用と耐用年数のバランスを考えて塗料を選択しましょう。
経年劣化などにより外壁の傷みが発生している場合、塗装の塗り直しや補修工事などを検討する必要があります。
住宅によくみられる外壁の劣化サインは以下のようなものが考えられます。
・外壁の色あせ
・コーキング剤の劣化
・チョーキング現象
・塗膜の剥がれ
・外壁のひび割れ
・外壁のコケやカビの発生
上記のような現象が外壁にみられた際には、早急にメンテナンスを検討しましょう。
専門業者に依頼・相談して住宅の劣化が進行する前に対処することが大切です。
外壁塗装に適している時期は春か秋です。
どちらも雨や雪が降る可能性が少なく、天候が比較的安定しています。
悪天候で塗装工事が中断することも少なく、予定通りに工期を終えることができます。
ただし、人気のある時期でもあるため業者が混み合う点に注意が必要です。
希望通りの日程で塗装工事を依頼するためには、早めに相談することをおすすめします。
季節ごとに外壁の塗装を実施するメリット・デメリットが異なります。
それぞれ紹介するので、依頼する際の参考にしてください。
＜メリット＞
・天候が安定している
・湿度が低く、塗料が乾きやすい
・暑すぎず寒すぎないため、窓をあけられなくても過ごしやすい
＜デメリット＞
・一部地域では雪や低温の影響がある
・繁忙期で費用が高くなる可能性がある
3～5月は比較的天候が安定し、湿度が低いため、塗料の乾燥が早く進みます。
気温も過ごしやすく、養生で窓をあけられなくても快適に過ごせるでしょう。
ただし、一部の地域ではまだ雪が残っていたり、気温が低かったりして、外壁塗装に適さない場合もあるため注意が必要です。
また、繁忙期で費用が高くなる可能性があります。
希望通りの日程で塗装工事を行いたい場合は、早めに見積もりを依頼しましょう。
＜メリット＞
・悪天候でない限り塗装工事は可能
・閑散期のため費用が安くなる可能性がある
＜デメリット＞
・雨が多く、工期が伸びやすい
・湿度が高く、塗料の乾燥時間が長くなる
6月は雨が多くなるため、工期が伸びやすくなる時期です。
湿度が高くなりやすく、塗料の乾燥時間を長くとる必要があります。
しかし、悪天候ではない限り塗装工事は可能です。
業者によっては閑散期のため費用が安くすむ可能性もあります。
天候に応じて丁寧な施工をしてくれる業者を選ぶと安心です。
＜メリット＞
・塗料が早く乾く
・作業時間が長くとれる
・比較的希望通りのスケジュールで施工できる可能性が高い
＜デメリット＞
・外壁の温度が高すぎると塗料に気泡が発生する
・養生で窓があけられない場合がある
・ゲリラ豪雨や台風で工事が中断する可能性がある
梅雨を過ぎれば気温が高くなり、塗料が早く乾くようになります。
日照時間も長くなり、作業時間も長くとれる点もメリットです。
春や秋ほど混み合う時期ではないため、希望通りのスケジュールで施工できる可能性が高い時期でもあります。
ただし外壁の温度が高すぎると塗料に気泡が発生し、塗り方に配慮が必要になります。
また、養生されていて窓があけられない可能性にも注意しましょう。
施工中にクーラーを使用しても問題ないか、事前に確認すると安心です。
加えてゲリラ豪雨や台風が多い時期のため、工事が中断して工期が伸びる可能性も考えておきましょう。
＜メリット＞
・気候が安定している
・湿度が低く、塗料の乾燥時間が短い
＜デメリット＞
・台風の影響が懸念される（9月）
・塗装業者が混み合い、予約が取りにくい
・費用が高くなる傾向
9月は台風の影響が懸念されますが、10・11月は塗装に最適な時期です。
湿度が低く、塗料が乾燥するまでの時間が短くてすみます。
反面、塗装業者が混み合う時期のため予約が取りにくく、費用が高くなる傾向があります。
特に秋から年末は、年内に塗装工事を終えたい人で混み合う傾向があるため、早めに予約しましょう。
＜メリット＞
・降雪量が少ない地域では湿度が低く乾燥が早い
・閑散期のため費用を抑えられる可能性がある
＜デメリット＞
・最低気温が5℃以下になる地域では塗装ができない
・結露が起こりやすく、乾燥に時間がかかる
・1日の作業時間が短いため工期が伸びる
12～2月は一般的に外壁塗装に適さない時期です。
地域によっては塗装が可能ですが、最低気温が5℃以下になる地域は塗装ができません。
また結露が起こりやすく、塗装を乾燥させるにも時間がかかります。
日照時間が短く、1日の作業時間が短いため工期が伸びる傾向もあります。
一方で、降雪量が少ない地域であれば湿度が低く乾燥が早い時期です。
閑散期のため、費用を抑えられる可能性もあります。
ただし、はじめから冬場の依頼を受け付けていない業者もいるため注意が必要です。
外壁塗装に適した環境は一般的に気温が5℃以上、湿度80％以下です。
そのため、最適な時期は地域によって異なります。
降雪量が少ない地域であれば、冬でも外壁塗装は可能です。
施工管理がしっかりしている業者を選べば、さらに安心です。
一般的なメリット・デメリットを踏まえつつ、地域の気候に合わせた時期を選ぶと良いでしょう。
地元で長く営業している業者を選ぶと、気候を理解したうえでアドバイスをもらえるのでおすすめです。
家庭の事情に合わせて塗装時期を考えたい場合も、業者に相談しましょう。
定期的に外壁塗装の塗り直しなどのメンテナンスを行うと、次のようなメリット・デメリットがあります。
外壁塗装を行うメリットは以下の通りです。
・外観を綺麗にできる
・外壁の劣化スピードを遅くできる
・遮熱や防水効果が得られる
外壁塗装を実施すると、何もしない場合と比べて見た目が美しくなるのはもちろん、外壁の劣化を抑えられるのも大きなポイントです。
ひび割れや塗膜のはがれなどの外壁の劣化を防げます。
雨漏りを防いだり、遮熱・断熱効果の向上により空調費用を抑えてくれたりします。
一方でデメリットは、手間と費用がかかる点です。
外壁材そのものに不具合が発生しているケースでは、塗装だけで改善できない場合もあります。
カバー工法や葺き替えなどの別の施工を検討しなければなりません。
外壁塗装は10年に一度くらいの頻度で行う必要があるうえに、1回ごとの費用が高額になる傾向があります。
なるべく費用を安く抑えて工事を行いたいと思っている方は多いでしょう。
外壁塗装の費用を抑えるコツは以下の通りです。
・外壁と屋根の塗装をまとめて行う
・助成金を利用する
それぞれについて詳しく解説します。
外壁塗装と一緒に屋根塗装の工事をまとめて行うとトータルでかかる費用を安くできる場合があります。
2種類の工事を同じタイミングで実施すると、足場工事を何度も行う必要がなくなり、費用を節約できるでしょう。
業者に依頼する際、やり取りの手間を省けるのもメリットです。
外壁と屋根工事を同時に行う際には、それぞれで使用する塗料の耐用年数を合わせておくと良いでしょう。
次回のメンテナンスも屋根と外壁で同じ時期に塗装を実施できるため、費用を抑えやすくなります。
国や地方自治体が実施している助成金・補助金を活用するのも外壁工事の費用を抑える有効な方法です。
助成金には使用する建材や施主の収入、環境への配慮など、さまざまな適用条件が設けられており誰でも利用できるわけではありません。
助成金では事前申請が必要になったり、応募者多数の場合は期限より早くに締め切られてしまったりするケースもあります。
利用する場合は、事前に利用条件や申請期限などをよく確認しておくのが大切です。
外壁塗装で失敗しないためには、時期だけでなく業者選びも重要です。
信頼できる業者を選ぶためのポイントは以下の通りです。
・施工実績
・見積書や説明の内容
・悪天候時の対応
・保証やアフターフォローの内容
質の悪い業者に依頼してしまうと、不具合が発生してすぐに再工事が必要になります。
業者選びは慎重に行いましょう。
それぞれのポイントを詳しく解説するので、参考にしてください。
業者のホームページに掲載されている施工実績を確認しましょう。
実績が豊富であれば信頼できる業者といえます。
また、経験が多ければ地元の気候に合わせた施工にも慣れています。
自宅と似た条件の施工例が掲載されていれば、さらに安心です。
利用者の口コミも確認しておくと良いでしょう。
加えて、ホームページを確認する際、在籍している職人の保有資格なども掲載されていればチェックしましょう。
有資格者の有無は、業者の質を判断する材料の一つになります。
外壁塗装の費用は、高ければ工事の質も高くなるわけではありません。
値段に見合った工事をしてくれるかどうかが肝心です。
見積書を確認し、極端に高い業者は避けた方が無難です。
同時に、極端に安い業者は手抜き工事をする可能性があるためおすすめできません。
また、見積書や説明の分かりやすさも大切です。
素人にもわかりやすい説明をしてくれるかどうか、疑問に適切な回答をしてくれるかどうかといった点に、業者の質が表われます。
施工に関するデメリットも正直に説明してくれる業者は、誠実で信頼できます。
問い合わせた時の対応から、信頼できる業者かどうか見極めましょう。
天候が安定していない時期に外壁塗装を行う場合、業者の対応力が重要になります。
悪天候の際、どのような対応をしてくれるか事前に確認すると良いでしょう。
「突然雨が降った場合にどうするか」「工事延期の判断をどのように下すか」など、疑問点は事前に確認しておくのがおすすめです。
工事が中断しても、すぐに段取りを組み直してくれる業者がおすすめです。
また進捗状況を丁寧に報告してくれる業者だと、安心して任せられるでしょう。
手抜き工事でなくても、施工後にミスが発覚する場合があります。
その場合、保証の有無がトラブルにつながる可能性があります。
業者によって保証やアフターフォローの内容が異なるからです。
事前に保証やアフターフォローの内容、対象となる期間などを確認しておきましょう。
口約束だけではなく、文書にしてもらい保管しておくのがおすすめです。
外壁塗装の期間中は、以下の点に注意しましょう。
・洗濯物が屋外に干せない
・窓をあけられない
・大きな音が発生する
洗濯物を屋外に干すと、洗浄時の水や塗料で汚れる可能性があります。
塗装期間中、洗濯物をどうするか考えておくと良いでしょう。
また養生後は窓があけられなくなります。
季節によっては換気が必要になるため、対応を業者に相談しておきましょう。
なお足場の組立や、高圧洗浄時に大きな音がします。
近隣住民から苦情がくる可能性があるため、事前に挨拶に行く必要があります。
基本的に業者が行ってくれますが、挨拶に行ってくれるか確認しておくと安心です。
外壁塗装の時期に関して、次のようなよくある質問に答えていきます。
・外壁塗装をするのにベストな季節、気候は？
・家を建てて10年経ったら外壁塗装をすべき？
・住宅の外壁塗装を行わないとどうなる？
それぞれについて詳しくみていきましょう。
「家を建ててから10年が経過したら、外壁塗装をしたほうが良い」と耳にした経験のある方も多いかもしれません。
10年は外壁塗装の時期を解説する際、よく使われる目安です。
しかし外壁塗装は塗料の種類ごとに耐用年数が違うため、塗装すべきタイミングもさまざまです。
一概に10年でやるべきとはいえません。
外壁が劣化しているサインが出ている場合は、10年未満でもメンテナンスが必要なケースがあります。
外壁塗装の時期については劣化状況を見極めつつ、専門業者ときちんと相談して決めることが大切です。
住宅の外壁塗装が劣化してもメンテナンスや塗り直しなどを行わないと、建物の外観が損なわれるだけでなく外壁材の機能性も低下します。
特に塗装のひび割れや剥がれ、チョーキングなどは放置すると雨水や紫外線による雨漏り、外壁材の劣化につながるため注意が必要です。
外壁材の劣化をそのままにしていると塗装だけでなく住宅の建て替えが必要になるケースもあるため、早期のメンテナンスを心がけましょう。
外壁塗装の時期に迷ったタイミングで専門業者に相談してみよう
